ドアミラーを畳むのは「交通ルール」か?
運転席と助手席のすぐ隣外側についている「ドアミラー」(別称:サイドミラー)。
普段は横へ張り出して後方を映し出すようになっていますが、ヒンジによってドア側へ畳むこともできます。
自宅やショッピングモール、あるいはコンビニなどでも、駐車するたびに毎回折り畳んでいる人を見かけますが、実際ドアミラーは駐車のたびに折り畳むべきなのでしょうか。
法律を確認すると、ドアミラーについては「道路運送車両法の保安基準」第44条で、設置が義務付けられています。
どんなミラーでもいいわけではなく、「運転者が運転者席において自動車の外側線付近及び後方の交通状況を確認でき」るもの、そして構造は「乗車人員、歩行者等に傷害を与えるおそれの少ないもの」と規定されており、これを満たさなければ車検に通りません。
さらに「ぐらついている」「ミラーが割れている」「ミラーがくすんで鏡の機能を果たしていない」なども、車検でNGとなってしまいます。
そういった細かい条件の中に「容易に方向の調節をすることができ、かつ、一定の方向を保持できる構造であること」「歩行者等に接触した場合に衝撃を緩衝できる構造であること」という規定があります。
これは、ドアミラーが歩行者と接触した時などに衝撃で畳まれる(あるいは裏返る)ことで、衝撃を吸収しているのです。
もし畳めない剛体であれば、ミラーを通して自動車の勢いが歩行者にそのまま伝わってしまうことになり、危害が大きくなってしまうのです。
これが、ドアミラーが「畳める構造」になっている最大の理由と言えます。
つまり、「駐車時に畳む」ことについての目的や背景が規定されているわけではなく、「駐車時は畳まなければならない」というルールが無いことがわかります。
では、なぜドライバーの多くは、駐車するたびに毎回ドアミラーを畳むのでしょうか。
多くの人の理由では「出っ張っていると、駐車している間に、誰かにぶつけられて傷つけられるリスクが高まる」などが挙げられます。
隣に停めたクルマがドアを思い切り開けてこちらの車体に当ててしまう「ドアパンチ」も多発しているくらいなので、周囲に不注意な人間は無数にいるもの。自衛策として毎回畳むことが、いつか起きる被害を防ぐというわけです。
また逆に「こちらがミラーを出っ張らせていると、周囲の人が迷惑だから、毎回畳んでいる」という人も多いでしょう。狭い駐車場であれば、隣のクルマともあまり離れていないので、ミラーが邪魔してその隙間を人が通行できなくて困ってしまう、というわけです。
昨今の新型車の多くは、電動でドアミラーを格納する機能が標準装備されています。さらに、ドアロックと同時に自動でドアミラーを畳む機能を備えたモデルも多く、意識せずとも折り畳んでいる人も多いでしょう。
もちろんドアミラーを折り畳むかどうかは、「個人の価値観」にゆだねられているもので、ルールではありません。
もし畳んでいない人を見かけても、「マナー違反だ」「やっぱりこういうところで品格が問われるよね」「日本人ならこんなことはしないはずだ」とSNS上で晒したり、逆に毎回畳む人に対して「いちいち畳む人を見かけた、気持ち悪い」とSNS上で晒すなど、互いの陣営同士で怒りや高圧的態度をぶつける行為は不毛なので、やめましょう。
くるまのニュース編集部