広報全般を任せてもらった
昨年11月の兵庫県知事選から半年。再選した斎藤元彦知事側から陣営のSNS運用に関し、斎藤氏がPR会社「メルチュ」(兵庫県西宮市)に対してインターネットによる選挙運動の対価として報酬を支払った疑いがあるとして、斎藤氏とPR会社の代表についての告発状が神戸地検と兵庫県警本部に提出されたのは昨年12月。これを受理した地検と県警がPR会社の関係先を公選法違反(被買収)容疑で捜索したのが今年2月。それから3ヶ月が経過したが、捜査はどうなっているのか。
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告発に至った経緯を振り返っておこう。
コトの発端は、メルチュの代表である女性がウェブサイトに「広報全般を任せてもらった」「(陣営のSNSの運用に関して)私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げなどについて責任を持って行った。会社が手がけた」などと投稿したことにある。
キラキラ私生活と「高級ガニ」
今や美人社長と評されることも珍しくない彼女からすれば、キラキラした私生活や輝かしいキャリアをネット上で披露するのは日常の延長のような行為だったのかもしれない。同志、斎藤知事もまた「高級ガニ」を両手に持ってアピールする楽しげな投稿写真が後に「パワハラ」の文脈で注目される事態を招いたのは偶然か。いずれにせよ、うかつなSNS投稿が命取りになりかねない、というのは現代人の常識である。
問題は、斎藤陣営からメルチュ側には71万5000円が支払われている点。公選法は選挙運動に報酬を支払うことを禁じており、SNSの運用を主体的に企画立案するのは選挙運動とみなされる可能性がある。代表の投稿は違法行為の自白に等しい、という見方を生んだのである。
提出された告発状では、斎藤陣営からメルチュ側への71万5000円の支出を「ネット広報活動の対価」と指摘。
盛った内容だ
一方、斎藤氏はポスターデザインや公約スライド制作などの業務に対する対価であり違法性はないと主張。さらにSNSについては「個人のボランティア。報酬は支払っていない」とし、公選法違反に抵触しない旨を訴え、代理人弁護士が会見した際には「(代表の投稿は)盛った内容だ」などと指摘していた。社長が自分を大きく見せようとして書いたものであり、実態とは異なるというのが斎藤氏側の主張である。
「メルチュ代表側の投稿内容や選挙期間中の動画などは公選法上の選挙運動に当たると見なしうるというのが捜査当局の見方のようです。争点は代表側がそれにどこまで主体的に関わったか否かです」
と、社会部デスク。メルチュ代表の関係先を捜索し、スマホや押収した証拠の中身などを解析して事実関係を整理しつつ、斎藤氏、メルチュ代表やその関係者などから任意で事情を聴いてきたようだ。メルチュへの捜査から3ヶ月が経過したが、捜査はどうなっているのか。