海底を引き裂くトロール漁。衝撃作『OCEAN』が私たちに突きつける「見えない破壊」


【動画】海底がさらわれる衝撃的なトロール漁の様子

トロール漁(底引き網漁)は、海底で網を引きずりながら魚を大量に捕獲する漁法。その過程で、海の生態系が破壊されると指摘されている。映画では、泥煙を巻き上げながら進む漁船の軌跡が衛星写真にまで映し出され、そのダメージの大きさがうかがえる。

ある研究では、トロールで海底の生物多様性の最大41%が失われ、回復には6年以上かかるとされている。

アッテンボロー氏は映像の中で語る。 

「水面からでは、こんなことが起きているとは分からない。だが今、それが明らかになった」

アッテンボロー氏はさらに、漁獲量の一部が廃棄されているとして、漁法に疑問を呈する。 

だが、『Ocean』は絶望だけを描いてはいない。映画は、海洋保護がもたらす希望の光も提示する。

IFLsienceによると、たとえば英国ライム湾の海洋保護区では、保全施策導入から15年で魚類の多様性が400%増加。サンゴ礁や海底構造も強化され、嵐に対する耐性まで高まったという。こうした変化は、保護区域周辺の漁獲量向上(スピルオーバー効果)にもつながり、持続可能な漁業の鍵ともなっている。

アッテンボロー氏はこう語る。

「過去100年で、科学者たちは驚くべき新種、壮大な回遊、そして想像を超える複雑な生態系を発見してきた。だが同時に、海の健康は著しく損なわれている。いまこそ変革の時だ。世界中の国々が紙の上では“海の30%を守る”と合意した。あとは、それを現実にするだけだ」

このドキュメンタリーは、アッテンボロー氏の99歳の誕生日にあたる2025年5月8日、世界同時公開された。6月8日からはナショナルジオグラフィック、Disney+、Huluでの配信も予定されている。



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