【AFP=時事】パレスチナ自治区ガザ地区での紛争をめぐる国際社会からの圧力が高まっているにもかかわらず、イスラエルは歴史的およびイデオロギー的な理由から、ドイツを含む中東欧諸国を忠実な同盟国として頼りにすることができる。
21日、オーストリアとドイツが他の欧州連合(EU)加盟国とたもとを分かち、EU・イスラエル協力協定の見直しに反対したことで、中東欧諸国とイスラエルの結束が浮き彫りになった。
EU外交官によると、EU加盟27か国のうち17か国が、ガザ紛争をめぐってイスラエルに圧力をかけるため、25年間続くこの協定の見直しを望んでいる。
ポーランド・ヤギェウォ大学中東・極東研究所のヨアンナ・ディドゥフ氏は、オーストリアとドイツは「第2次世界大戦中のユダヤ人の境遇に対する補償」をしなければならない気持ちに駆られているのだと述べた。
その点で、両国は30年以上前にソ連による全体主義的な共産主義支配から抜け出した東欧諸国と同じ側に立っているとディドゥフ氏は言う。
チェコからブルガリアに至るまでの東欧諸国は「征服される、裏切られる、あるいは孤立させられることへの恐怖」を共有しているとディドゥフ氏は指摘。
ソ連の崩壊と、EUおよび北大西洋条約機構(NATO)への加盟後、これらの旧共産主義諸国は概して、ソ連が推進していた親アラブ路線から、米国の国際情勢認識に転換した。
■分断を利用するネタニヤフ氏
こうした国々がイスラエルと親密な関係にある背景には、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)と、共産主義政権下でまん延した反ユダヤ主義から逃れるためにイスラエルに移住した人々の存在もある。
こうした歴史的な理由は徐々に薄れつつあるが、一部の国では新たな現象が台頭している。それは、自由民主主義への嫌悪感だ。
ハンガリーのオルバン・ビクトル首相、スロバキアのロベルト・フィツォ首相、チェコのミロシュ・ゼマン元大統領は、いずれもイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の政治理念に同調している。