米実業家イーロン・マスク氏が1日、7月の参院選で「日本人ファースト」を掲げ躍進した参政党の動きと連動し、日本国内で行われた反移民デモへの支持を表明しました。電気自動車(EV)大手テスラや宇宙開発企業スペースXの最高経営責任者(CEO)を務めるマスク氏のこの発言は、日本の政治情勢と世界のポピュリスト運動との関連性を示唆しています。
マスク氏の政治的立場と支持の具体例
ドナルド・トランプ米政権下で「政府効率化省(DOGE)」の責任者を務めた経験を持つイーロン・マスク氏は、以前からドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」をはじめとする各国の極右政党を支持する姿勢を示してきました。南アフリカ出身のマスク氏は今回、「The British Patriot(英国の愛国者)」というアカウントがX(旧ツイッター)に投稿した、日本における小規模なデモの動画をリポストし、「いいね」とコメントすることで、その支持を明確に表明しました。
日本の反移民デモに支持を表明した米実業家イーロン・マスク氏
「土着のルーツを持つ誇り高き白人英国人男性」を自称する「The British Patriot」は、この動画には日本のデモ参加者が「すべての不法移民の国外追放」を要求している様子が映っていると説明。さらに、「オーストラリアから欧州、そして日本まで、市民はリマイグレーション(移民が出身地に戻ること)のために団結している」と述べ、反移民運動の国際的な広がりを強調しました。
日本の反移民デモの背景と内容
今回マスク氏が支持を表明した動画は、8月30日に大阪で撮影されたものとみられています。デモ参加者たちは、「日本をアフリカにすんな」などと書かれたプラカードや日本国旗を掲げ、大量移民政策に反対する意思を行進を通じて示しました。日本の総人口に占める移民(在留外国人)の比率は他の先進国と比べると依然として低い水準にありますが、高齢化、世界最低水準の低出生率、そして多くの産業における労働力不足といった課題を背景に、その割合は増加傾向にあります。
参政党の躍進と政策概要
このような社会情勢の中、日本国内では反移民を掲げる参政党が、7月の参院選で改選1議席から14議席へと大幅に議席数を伸ばしました。同党は現在、参院で15議席、衆院で3議席を確保しています。参政党の政策方針は、世界中の他のポピュリスト運動と共通する部分が多く、「エリート主義」や「グローバリズム」を非難し、権力を国民に取り戻すと訴えています。マスク氏の今回の発言は、こうした日本の国内政治におけるポピュリズムの台頭と、国際的な極右・反移民の動きが密接に関連していることを浮き彫りにしています。
結論
イーロン・マスク氏による日本の反移民デモへの支持表明は、国際的な影響力を持つ人物が日本の国内問題に言及した点で注目されます。これは、グローバル化が進む世界において、移民問題やナショナリズムの台頭といった社会政治的なテーマが、国境を越えて相互に影響を与え合っている現状を改めて示すものです。日本の参政党の躍進も、こうした世界的な潮流の一環として捉えることができるでしょう。
参考文献
- AFPBB News. (2025年9月2日). イーロン・マスク氏、日本の反移民デモに支持表明. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/articles/a3bef2f6a4c72891313c0ac02a78c79843c68a20