若い女性が薬物塗れの空間で、富裕層の男と一晩を共にする──。そんな淫靡な宴が、東京・港区の高級ホテルで現実に行われていた。
高級ホテルの一室で覚醒剤やコカインが見つかり、違法薬物を所持した疑いで逮捕されたのは、不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者(60)。各メディアが、田中容疑者が高額報酬で若い女性たちを集め、港区のホテルで乱倫を繰り広げていたと報じると、日本中が衝撃を受けた。
こうしたドラッグを伴う乱倫パーティーは何も日本だけの話ではない。海の向こうアメリカでは、音楽業界の大物プロデューサーが自ら主催した「フリーク・オフ」と呼ばれるパーティーによって、よりスケールの大きなスキャンダルの渦中にいるのだ。
そのプロデューサーとは、ラップ界の大物、ショーン“ディディ”・コムズ被告。ニューヨーク・ハーレムの貧しい家庭に生まれ、1990年代には数々のスターを育て上げ、音楽界の“帝王”とも呼ばれた。
だが今、その栄光は完全に崩れ去ろうとしている。
性暴力や薬物使用をめぐる複数の事件で告発され、アメリカの連邦当局によって本格的な捜査の対象となっているのだ。BBCのインタビューに応じた元広報担当者によれば、コムズ被告は「世界で最も有名な人になりたい」という野望を抱き、そのためには「パーティーキングであり続けることが必要」だと信じていたという。
コムズ被告はビバリーヒルズでも最も高級とされる通りに、高いフェンスで囲まれた豪邸を所有。毎週末のようにパーティーを開き、近隣住民からの通報でたびたび警察が出動する騒ぎになっていた。酩酊した女性が露出度の高い格好で路上に座り込む姿も、日常的に目撃されていたという。
さらに、セレブや芸能界の重鎮たちを招いたニューヨークの別邸のパーティーでは、薬物を乱用しながらレイプが日常的に行われていたほか、未成年の少年少女に対する性的暴行の疑いも浮上し、やりたい放題ぶりはもはや常識の範疇を超えていた。
こうした性の倒錯は、名声を求める野心と結びつき、より歪んだ形でエスカレートしていったようだ。元広報担当者の証言によれば、コムズ被告は英国王室に対しても異常な執着を見せていたという。
ハリー王子とウィリアム王子を自身のパーティーに招待するよう、10回以上も強く要求。旅費・宿泊費・警備費すべてを自腹で負担することを申し出ていた。自宅には王子たちの写真が額装されて飾られており、まるで取り巻きとして迎え入れようとしていたという。