千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=虐待死事件の報告書提出を受け、千葉県検証委員会の川崎二三彦委員長は25日、県庁で記者会見を開いた。主なやりとりは次の通り。
--報告書を取りまとめた率直な感想は
「最も重要なことは心愛さんが小学校のアンケートにSOSを出したこと。虐待事件で子供がこういう形で声を出すことは少ない。全体でみても1%に満たないぐらいだ。こういう形で声を上げた心愛さんの命を何としても守る必要があったし、今回の事件は残念だった」
--ミスがミスを呼びという記載もあるが、命を救えなかった最大の理由は
「非常に大きな点は児童虐待の対応における基本が十分周知されていなかったことだ。通告数が増えている中、一つ一つの事案に丁寧に対応ができなかったこともあると思う」
--父親の態度がころころ変わっている点も職員の対応に影響を与えたのか
「この父親は非常に特徴的。単に高圧的などではなく、非常に用意周到だ。関係機関の職員がその特徴を把握しきれていない面もあったのではないか」
--野田市の対応は
「一時保護を決めた際に市が父親に連絡していることに大変驚いた。(父親に押し返されないよう、一時保護の権限を持つ)児童相談所が行うべきだった」
--児相の体制をどう強化していくべきか
「人員を増やすという大前提はあるが、基本が周知されていない職員が対応しているということもあるので、体制の整備と強化の2つが必要。促成栽培のように職員は育たない。研修についていろいろ書いたが、余裕を持って仕事をすることと、じっくり職員を育てることを肝に銘じて取り組んでほしい」