参議院選挙の衝撃:現役世代が突きつけた「NO」と「バラマキ政治」の末路

2025年7月20日に投開票された第27回参議院選挙では、自民党、公明党、立憲民主党、共産党といった既存政党が比例代表選挙区で得票数を大幅に減らすなど、その退潮が顕著となりました。特に、野党に大きな追い風が吹く中で、第50回衆院選で示されたはずの立憲民主党への期待が今回の参院選では大きな失望に変わり、議席数が現状維持に止まった点は非常に興味深い事実です。これは単なるSNS活用不足といった末節な問題ではなく、より深刻な国民の声が反映された結果と考えられます。

第27回参議院選挙の結果、自民党を含む既存政党に対し現役世代が不満を表明した状況を示すイメージ第27回参議院選挙の結果、自民党を含む既存政党に対し現役世代が不満を表明した状況を示すイメージ

既存政党への不信感の増大

今回の選挙結果が示すのは、自民党、公明党、そして立憲民主党に対し、現役世代が明確に「ノー」を突きつけたという事実です。国会会期終盤での厚生労働省による年金制度改革関連法案の強行採決(厚生年金の積立金を基礎年金に流用する案)や、安倍晋三内閣には厳しく対峙したにもかかわらず、石破茂内閣には内閣不信任案すら提出せず融和的であった野田佳彦立憲民主党への不信感も、この結果に繋がった一因でしょう。各種メディアの調査による年齢別投票率も、この現役世代の行動を客観的に裏付けています。この政治不信は、既存の政治システムに対する深い疑念の表れであり、次世代を担う層が現状維持を望んでいないことを示唆しています。

「バラマキ政治」の構造的課題

今回の参議院選挙戦を振り返ると、与党も野党も、給付金や減税の規模を競い合う「バラマキ政策」に終始していたのが大きな特徴でした。なぜ、選挙のたびにこのようなバラマキが繰り返されるのでしょうか。

まず、政治の側には、国民に対してバラマキを約束すれば票が得られるという誤った確信があります。たとえバラマキに懐疑的であったとしても、各党は一票でも多く獲得したいという選挙至上主義に囚われ、「バラマキを約束しないことが自党に不利になる」と判断すれば、結果的にバラマキを提案せざるを得ない「囚人のジレンマ」的状況に陥ります。これにより、給付金や減税の対象や規模を巡る競争が激化し、大衆迎合主義が蔓延する結果となります。

一方、国民の側にも、最近の物価高騰や社会保険料の負担増によって、現役世代も高齢世代も手元に残る金額が想像以上に少なく、実質的な購買力の低下を補填しようと、給付金や減税によるバラマキを求める傾向があります。

結局、「バラマキ」は、一票でも多く獲得したい政治側の思惑と、購買力を補填したい国民側の需要が一致した結果であり、これはまさに「バラマキ政治」と「クレクレ民主主義」と呼ばれる現象に他なりません。この悪循環が続く限り、日本社会が抱える構造的な問題の解決は遠のくばかりです。

結論

今回の参議院選挙結果は、単に政党支持率の変動を示すだけでなく、日本の政治と国民の関係性における深い構造的変化を浮き彫りにしました。特に現役世代が既存政党に突きつけた「ノー」は、目先の給付や減税といった「バラマキ」に依存しない、より本質的で持続可能な政治の変革を求める強いメッセージと捉えるべきでしょう。この選挙結果は、政治家が真に国民の声に耳を傾け、将来を見据えた政策立案へと舵を切るための重要な転換点となるはずです。

参考資料