除草剤「ラウンドアップ」への誹謗中傷に企業が損害賠償請求へ、SNSで飛び交う虚偽情報に一石、悪質な拡散を止めることができるのか


【写真】日本で販売されているラウンドアップ

IARCのグループ分類で「グループ2A」

 ラウンドアップおよびグリホサートへの風当たりが特に強くなったのは15年からだ。同年、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は発がん性分類でグリホサートをおそらく発がん性があるとする「グループ2A」に分類した。

 以後、米国でがん患者たちが訴訟を起こすなど反対運動が強くなっていった。国際がん研究機関が「発がん性」という評価を下した背景に環境活動家たちの暗躍などがあったが、そのあたりの詳しい内容はぜひ『フェイクを見抜く「危険」情報の読み解き方』(ウェッジ)を読んでほしい。

 これに対し、日本の内閣府食品安全委員会をはじめ、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)に科学的な助言を与える独立組織の欧州食品安全機関(EFSA)、米国の環境保護庁(EPA)、カナダ、豪州などの政府・公的研究機関が厳しいリスク評価の結果、「発がん性はない」との公的見解を示した。

 ところが、いくら国や公的研究機関が発がん性を否定しても、それが大手メディアによって報じられることが少なかったせいか、ラウンドアップおよびグリホサ―トに関する科学的根拠なき誤情報は止まらなかった。特にSNSを中心としたインターネット空間ではいまも誹謗中傷に近い誤情報があふれかえっている。



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