夏の参院選に向け、各党は1700万人の氷河期世代に向けた支援を打ち出している。独身研究家の荒川和久さんは「この世代の本当の問題は、本来『普通の生活』を得られるはずだった真ん中4割の層が実質下層化してしまったことにある」という――。
【図表をみる】45~54歳男性年収別人口(2007~2022年比較)
■就職氷河期で人生が決まった世代
生まれた時期が悪かった……。
一生涯不遇続きの世代といわれるのが氷河期世代です。氷河期世代とは、現在40歳から54歳くらいの世代が該当します。
1970年代初頭の第2次ベビーブーム期以降に生まれ、ただでさえ人口が多い上に、バブル崩壊後の雇用環境が厳しい1993年から2004年あたりに就職活動がぶつかったため、採用の需給バランスにより就職に苦労した世代です。1人で30社以上受けてもなかなか就職先が見つからなかった人もいたことでしょう。
さらに、なんとか就職先を見つけてもその後にまたリーマンショック等の不景気が相次ぎ、給料がたいしてあがらない上に、謎に社会保険料だけは増えて、手取りが増えるどころか減る有様でした。
■空前の賃上げブームでも蚊帳の外
巷では、大卒新入社員の初任給が30万円超えなど景気のいい賃上げのニュースが話題になっていましたが、そんな中でも氷河期世代だけは蚊帳の外です。
厚労省の賃金構造基本統計調査によれば、コロナ禍前の2019年と直近の2024年とを比較した場合、20〜24歳の賃金伸び率は10.0%と2桁伸長であるのに対し、氷河期世代の40〜49歳は約7%止まり、50〜54歳においてはわずか2.9%しか伸びていません。もちろん、元々の賃金の絶対額の違いはありますが、賃上げという面においても氷河期世代は不遇です。
では、氷河期世代が、その前の世代と比較して具体的に何がどう違うのかを明らかにしていきたいと思います。
就業構造基本調査より、2022年時点で45〜54歳だった氷河期世代と、2007年に45〜54歳だった世代(2025年時点では63〜72歳にあたるバブル世代とも呼ばれていた世代)で、その男性の年収分布を比較したものが図表1のグラフになります。