なぜ上司は優しさを捨てたのか? オフィス回帰時代の「新・生存戦略」


それから時間が経ち、状況は様変わりしている。業界を問わず、マネジャーたちは共感型のリーダーシップを捨て、より直接的で結果重視のリーダーシップスタイルをとっている。この変化はどこからきているのだろうか。リーダーと従業員は、この新たな現実をどのように乗り越えるべきだろうか。

■リーダーシップが変化した背景

1. 経済的圧力で結果重視に

労働市場は比較的堅調であるにもかかわらず、企業は結果を出さなければならないというかなりのプレッシャーにさらされている。実際のところ、部下を持つ管理職の人たちは共感型のリーダーシップから離れ、測定可能な業績の追求に注力している。それが、柔軟性の低下や従業員への特典の減少を伴うことを意味するとしてもだ。

2. コスト削減、それは社風が変化する兆し

企業はコスト削減を進めており、従業員向けの福利厚生や報奨は減るばかりだ。予算の制約からくるこうした決定は、社風の優先順位の変化を真っ先に示すものとなることが多い。企業がかつて標準と考えられていたインセンティブを廃止し始めると、雇用主と従業員の関係の根本的な見直しが示唆される。

3. 消えつつある中間管理職

中間管理職は従来、経営陣と現場従業員との緩衝役を果たしてきたが、目覚ましい勢いで減っている。米調査会社ガートナーは、2026年までに組織の2割が人工知能(AI)を活用して組織構造をフラット化し、中間管理職の大半をなくすと予想している。組織のヒエラルキー(階層)の簡素化は、従業員の懸念を代弁する人物が減り、測定可能な成果を上げるための圧力が強まることを意味する。

4. リモートワークに対する「疑心暗鬼」から厳格な管理に

リモートワークとハイブリッドワークの普及も、厳格な管理スタイルの一因となっている。マイクロソフトの調査によると、「リーダーの85%がハイブリッドワークへの移行により、従業員の生産性に確信を持てなくなったと回答している(中略)。これにより、生産性への疑心暗鬼が生まれている。結果、労働時間や会議の数が増え、その他の活動指標は上昇しているにもかかわらず、リーダーらは従業員が働いていないために生産性が低下しているのではと思うようになった」と指摘している。

■展開中の新しいアプローチ

結果重視のスタイル

今日のリーダーシップでは、明確さや責任感、結果を何よりも重視している。経営者はより高い期待値を設定し、期待に届かない成果について以前ほど寛容ではなくなっている。このアプローチは、従業員の取り組みよりも測定可能な成果を優先し、監視の強化やパフォーマンス指標の導入を伴うことが多い。

オフィス復帰義務で柔軟性が犠牲に

オフィス復帰義務は、この変化を象徴している。従業員がリモートワークを望んでいるにもかかわらず、企業はますますオフィス出社を求めており、一部では規則を強化して従業員に週5日の出社を義務付けている。

厳しくなる業績の要求

業績管理も厳格化しつつある。企業はかつて行われていた業績評価を復活させ、強気な目標を設定して業績未達への対応を迅速化している。

直接的な表現を採用

リーダーシップの言葉も変化している。経営陣はコミュニケーションにおいてますます直接的になり、「生産性を向上させるか、辞めるか」といった表現を用い、従業員に「誰もが別の人に取って代わられる可能性がある」と伝えている。



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