開会中の通常国会は残り3週間余り。与野党は7月の参院選に向けて走り出しているものの、政権の存続が危ぶまれる自民党内で、急速に厭戦気分が広がっている。
【写真を見る】映画レビューサイトの評価は「星2.4」 石破首相がすがる“一本の映画”
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「本当に選挙で勝つ気があるのか」
政治部デスクもけげんな顔。
「最近、自民党内で“(石破茂首相は)本当に選挙で勝つ気があるのか”との声が出ています。最たる理由は消費税減税の見送りで、立憲民主党ほか野党にとどまらず、公明党も物価高対策の目玉として主張し、参院自民党でも減税論が強まりつつある。ところが首相は、頑として減税を認めない財政規律派の森山裕幹事長に唯々諾々と従っています」
いまや“政権の大黒柱”である森山氏の振り付けに沿ったのか、石破首相は12日の衆院予算委員会で、消費減税を求める共産党議員に「社会保障の財源をどうするかも合わせてご議論下さい。消費税の減税だけの話をするのは無責任だ。私どもは選挙のためにこの議論をしているのではない」と色をなして反論した。
「改選組の参院議員らは“いまそれを言うか”と鼻白んでいた。消費減税に代わる経済対策があるならともかく、トランプ関税に振り回される官邸は無策。野党が消費減税を選挙戦の争点にするのは必至なのに」
お気に入りの映画
年金制度改革関連法案も、自民党に逆風となりそうだ。
「厚労省は厚生年金の積立金を基礎年金に活用し、就職氷河期世代以降の基礎年金の水準を底上げしようと考えた。ところが自民党から“厚生年金保険料の流用”と批判されて法案から削除。法案提出は2カ月遅れ、野党は基礎年金の底上げを要求しており、成立はまったく見通せません」
自民党には平成19年の参院選で“消えた年金”が争点とされ、惨敗を喫した苦い過去が。首相には選挙の結果次第で退陣圧力が強まるが、それでも危ない橋を渡るのはなぜなのか。
「首相は、3年前に制作されたドキュメンタリー映画『石破茂・嫌われた正論 10人の証言』をいたく気に入っていてね。本人が“正しいことは正しい、間違っとることは間違っとると言えんで、なんでまともな日本になるか”と訴える姿が印象的な作品ですが、首相はいまの局面でも“正論”を丁寧に説明すれば国民は分かってくれると信じているようだ」(自民党幹部)