生活保護の支給額引き下げは違法だとして、全国の受給者が取り消しなどを求めた裁判で、最高裁は原告側と国側、双方の意見を聞く弁論を開きました。
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生活保護費をめぐっては、厚生労働省が2013年から2015年の3年間で、デフレによる物価下落などを踏まえて支給額を最大10%引き下げていて、受給者たちが支給額の引き下げの取り消しや賠償を求め、各地で訴えを起こしています。
このうち、最高裁に上告されている2つの裁判について、最高裁は27日、原告と被告である国側の双方の意見を聞く弁論を開きました。
原告の一人、小寺アイ子さん(80)は、支給額が減ったことで孫のためにしていた1日100円の貯金を止めざるを得ず、今年4月に中学生と小学生になった孫にお祝いを渡せていないと明かし、「私の母は、孫に当たる私の娘にピアノを買ってくれました。同じおばあちゃんなのに、私はたった1日100円の貯金すらしてあげられない」と訴えました。
一方の国側は、「厚生労働大臣の判断は合理的で、裁量権の逸脱はない」などとして、訴えを退けるよう求めました。
今回、弁論が開かれたのは、大阪高裁と名古屋高裁が判決を出した2つの裁判の上告審で、大阪高裁は引き下げを適法だとした一方、名古屋高裁は引き下げ部分の取り消しと賠償を命じています。同様の裁判は29都道府県で起こされていて、この2つを含む12件で高裁判決が出ています。
高裁の判断は分かれていて、引き下げを適法だとしたものが5件、違法だとしたのが7件あります。
最高裁は6月27日に判決を言い渡すことを決め、支給額の引き下げが違法かどうか、統一的な判断を示す見通しです。
TBSテレビ