今年1月に芸能界引退を発表した中居正広氏(53)を巡る性暴力問題は、フジテレビを巻き込んだ社会的な議論を巻き起こしています。週刊新潮による“激変”した姿や現在の暮らしぶりの報道に続き、注目は第三者委員会による調査報告書、そしてそれに対する中居氏側からの反論に移っています。完全リタイア後も生活に困らないとされる中居氏ですが、本件は彼の社会的地位と名誉に大きな影響を与えています。
中居正広氏とフジテレビを巡る性暴力問題の経緯
この問題は、昨年末に複数の週刊誌が中居氏とフジテレビの元女性アナウンサーとの間に起きたとされる「性加害トラブル」を報じたことに端を発します。その後、事態はフジテレビによる組織的な「上納」疑惑に飛び火し、社会的な波紋を広げました。特に、1月17日に開催されたフジテレビ元社長・港浩一氏による記者会見が「閉鎖的すぎる」と批判を浴びたことは、大規模なスポンサー離れを引き起こす事態に発展しました。
問題の全容解明が待たれる中、3月31日には第三者委員会が調査報告書を公表しました。この報告書では、中居氏の行為が「性暴力」と認定されたことに加え、中居氏以外の複数のタレントによるセクハラ行為に関する記述も含まれており、多くの注目を集めました。
引退発表後の中居正広氏。性暴力問題を巡る動向と今後の活動に注目が集まる。
代理人弁護士による第三者委員会報告書への反論
しかし、第三者委員会の報告書に対し、中居氏側からは反論が提起されました。中居氏の代理人である長沢美智子弁護士らは、5月12日にフジテレビおよび親会社のフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会に対し、疑義を呈する文章を送付しました。
その主張は以下の主要な点に集約されます。
- 「性暴力」の実態に関する疑義: 中居氏への聞き取り調査の結果、代理人側は「性暴力」という日本語が一般的に想起させるような暴力的または強制的な性的行為の実態は確認されなかったと主張しています。
- 報告書の中立性・公正性への批判: 報告書は中立性および公正性を欠いており、中居氏個人の名誉と社会的地位を著しく損なう極めて大きな問題があると指摘しています。
- 守秘義務解除の提案と第三者委員会の対応: 中居氏は、第三者委員会の調査に対し、被害女性との間で結んだ守秘義務契約を「解除してもよい」と提案しました。しかし、第三者委員会からは「二人の密室で何が行われたかが直接の調査対象ではない」との回答があったとされています。
エンターテインメント担当記者によると、この「守秘義務解除」の提案は、2023年6月2日に被害女性が中居氏のマンションを訪問した際に何が起こり、どのように解決に至ったのか、さらには被害女性との間で合意に至った示談内容についても開示を厭わないという中居氏側の姿勢を示すものと解釈されています。
まとめ
中居正広氏の性暴力問題は、第三者委員会の報告書公表後も、中居氏側からの反論によって新たな局面を迎えています。代理人弁護士による報告書の客観性への疑問提起や、守秘義務解除の提案が拒否された経緯は、本件の複雑さと透明性の課題を浮き彫りにしています。この問題の今後の進展は、日本社会における性暴力問題への意識、そしてメディアの報道倫理と企業統治のあり方に大きな影響を与え続けることでしょう。
参考文献: