林芳正官房長官は30日午前の記者会見で、安倍晋三元首相の妻、安倍昭恵さんが29日(現地時間)にロシアのモスクワでプーチン大統領と面会したことについて、昭恵さん側と「政府として(面会についての)やりとりはしていない」ことを明かした。
「国際社会に誤ったメッセージを与えかねない」などと記者に指摘され、見解を問われると「いずれにしろ、政府としてコメントする立場にはない」と述べるにとどめた。
日本政府は現在、ロシア全土に「渡航中止勧告」を出している。その勧告のさなかに、一民間人ながらも、元首相夫人としての影響力を持つ昭恵さんのモスクワ訪問をどう受け止めるか問われると、林氏は「政府としてはロシア全土にレベル3、すなわち渡航中止勧告以上の危険情報を発している。基本的にはロシアへの渡航はやめていただくよう、国民のみなさまに求めてきているところでございます」と応じるにとどめた。
昭恵さんとプーチン氏の面会は、ロシア大統領府の映像公開などで明らかになった。「電撃訪問」ともいえる。プーチン氏は、昭恵さんに大きな花束を渡した上で、安倍氏の首相在任中に27回会談したことを振り返り「ロシアと日本の協力発展に果たした(安倍氏の)貢献を忘れることはない」などと伝えた。プーチン氏の言葉に、昭恵さんが涙ぐむ様子も伝えられた。
昭恵さんは昨年、2期目の大統領就任直前だったトランプ米大統領からもフロリダ州の私邸に招かれ、大統領夫妻と食事をともにしている。