山尾志桜里氏 参院選東京 第一声 無所属の意地と国民民主への複雑な胸中

参院選東京選挙区に無所属で立候補した山尾志桜里氏が、東京都武蔵野市のJR吉祥寺駅東口ロータリー前で第一声を上げた。炎天下の午後1時、集まった支援者や報道陣の前で、党の公認を得られなかった現在の状況と、それでもなお選挙戦に挑む決意を語った。これは、頼るべき“あの人”がいない、たった一人での厳しい闘いの始まりである。

山尾志桜里氏が参院選東京選挙区での第一声で演説する様子山尾志桜里氏が参院選東京選挙区での第一声で演説する様子

国民民主党への「恨み節」と政党への失望

演説はまず、無所属となった経緯の説明から始まった。「吉祥寺で第一声は予想通りですが、無所属での第一声は予想外でした」と述べた後、残念ながら国民民主党から公認を取り消されたことに触れた。彼女はかつての所属政党に対する複雑な思い、いわば「恨み節」を口にした。

「2022年の結党時には、リベラルから穏健保守まで包摂していく『改革中道政党』だと結党メンバーで誓い合ったあの国民民主党ですら、選挙を前にして右旋回から逃れられない状況を、中から見ました」と、党が中道路線から外れている現状に失望を示した。そして、「この国には本当はたくさんの方が求めているはずの、この国には本当の右や左に偏らない、ど真ん中の、この国の未来をひたすら思う中道の政治がなかなか根付かないことを教えてくれたのが今回の国民民主党との一連の経過だった。私も学びました」と語り、既存政党の限界を指摘した。

無所属だからこそできる、意地の政策主張

国民民主党からの離脱を経て、山尾氏は無所属での戦いを「無所属でもできる、無所属だからこそできる」と強調し、その決意を表明した。彼女は特定の政党に縛られない立場から、日本の根幹に関わる重要な政策課題を真正面から提起すると訴えた。

「皇室問題や憲法の問題、この国がこの国であり続けるための大事な論点を選挙でしっかり正面に掲げる政党はほとんどありません! これを掲げれば党内が分裂するからです!」と、タブー視されがちな論点にも切り込む姿勢を見せた。さらに、自身の代名詞とも言える子育て政策についても言及し、「もし私を無所属で国会にもう一度送っていただいたら、『保育園落ちた』の10年後、2025年の子育て政策を必ず前に進めます!」と、具体的な目標を掲げた。

炎天下での激走と有権者との交流

約25分間に及んだ熱弁の後、山尾氏の体は汗だくになり、化粧も崩れていた。しかし、彼女は疲れを見せることなく、わずか十数人ながらも駆けつけた聴衆一人ひとりに対し、感謝の気持ちを込めて積極的に交流を求めた。

満面の笑みを浮かべ、「よく来てくれました。ありがとう」「暑い中、ありがとうございます」などと声をかけながら、固く握手を交わした。この炎天下での献身的な姿は、「意地の戦い」に挑む彼女の強い意志を物語っていた。

厳しいスタート、一人で挑む決意

国民民主党の公認を取り消され、文字通り「たった一人」で参院選東京選挙区に臨むことになった山尾志桜里氏。吉祥寺での第一声は、かつての仲間への複雑な思いと、無所属だからこそできるという強い覚悟、そして自身の政策課題への熱意を示すものとなった。支援者の数は多くはなかったが、炎天下で汗を流しながら有権者と向き合うその姿は、困難な状況でも諦めない彼女の決意の表れだろう。今後の「意地の戦い」の行方が注目される。