ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は5月31日、5月の戦況報告を行い、同国南部ザポリージャ州で露軍が「著しく活発化し、積極的な攻勢を仕掛けている」と述べた。シルスキー氏はまた、露軍がウクライナ北東部スムイ州の国境地帯や、東部ドネツク州ポクロウシクやトレツク、リマンなどの各方面にも戦力を集中させていると指摘した。
ザポリージャ州の戦況は過去1年以上、膠着(こうちゃく)状態が続いてきた。ただ、ロシアはウクライナに対し、停戦条件の一つとして、一方的に併合を宣言したザポリージャ州を含む東・南部4州からの軍の撤退を求めているとされる。ロシアはウクライナが停戦に応じなくても武力で目標を達成できるとアピールするため、ザポリージャ州で攻勢を強化している可能性がある。
一方、スムイ州に関しては、ロシアは国境地帯に「緩衝地帯」を設ける方針で、これまでに複数の集落を制圧している。
スムイ州当局は31日、新たに11集落を住民の強制避難対象に指定した。対象の集落は計213集落になった。
ウクライナメディアによると、ドイツ大衆紙ビルトは31日、過去1週間に露軍がスムイ州で3集落▽東部ハルキウ州で1集落▽ドネツク州で14集落-の計18集落を制圧したと報じた。(小野田雄一)