大阪女児誘拐、SNSを使った犯罪から子供を守るには





女児を伊藤仁士容疑者が誘拐した公園=24日午前10時、大阪市住吉区(安元雄太撮影)

 大阪市住吉区の小学6年の女児(12)が誘拐され、栃木県小山(おやま)市で保護された事件で、同市の自称派遣社員、伊藤仁士(ひとし)容疑者(35)=未成年者誘拐と監禁容疑で送検=は、会員制交流サイト(SNS)を通じて女児を誘い出していた。SNSを使った犯罪から子供を守るにはどうすればいいのか。NPO法人「青少年メディア研究協会」(前橋市)の下田太一代表理事は「子供たちのコミュニケーションの感覚は親世代とは全くの別物だ。親自身がSNSを理解し、免疫力をつける必要がある」と訴える。

 下田氏によると、SNSは実際のコミュニケーションとは異なり、身体的な要素がないため見知らぬ人物にも恐怖心が働きにくい。特にツイッターなどは文字だけのやりとりのため、子供たちにとっては「知らない人にも自分の言いたいことを言える、『楽しい』ツール」になっている。実生活で逃避願望を持った子供が、SNSを通じた家出を試みるハードルは低くなっているという。

 また、スマートフォンに関する親子間の認識の差も大きい。多くの親は連絡用として子供にスマホを買い与えているが、子供にとってはインターネット上の見知らぬ人物とも容易に通信が可能な環境に置かれる。

 下田氏は「自転車を買い与えれば、子供の行動範囲が広がるのは当たり前。子供がスマホを使って何をしているのか、親がきちんと把握する必要がある。それができないのなら、最初からその環境を与えるべきではない」と指摘。SNSを使った犯罪から子供を守るためには「『SNSのことを安心して親に話していいんだ』と子供が思えるような親子の関係づくりこそが重要だ」と強調する。

 一方で、有害情報から物理的に子供たちを守ろうとする動きも進む。昨年2月には改正青少年インターネット環境整備法が施行され、スマホの販売店などに対し、18歳未満が使用する際には契約時にフィルタリングを説明し、端末の設定を行うよう義務づけた。

 下田氏は「フィルタリングは子供を守る上でも有効な手段」としつつ、「いくら法令で義務づけても、親自身がフィルタリングの必要性を理解していなければ意味がない」と話した。



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