フジテレビは、タレントの中居正広氏と元女性アナウンサーを巡る一連のトラブルに関して、当時の経営陣であった港浩一前社長と大多亮元専務取締役に対し、会社法に基づき法的責任を追及するため提訴すると発表しました。これは、人権・コンプライアンス対応の不備が指摘された問題に対する重要な進展です。
経営責任追及の決定
フジテレビの清水賢治社長は、この度の提訴方針について説明しました。監査役会が会社法上の責任追及を決定したことを受け、訴訟の準備を進めているとのことです。この提訴は、一連のトラブル対応における経営判断や責任の所在を明確にすることを目的としています。
港前社長の辞任と謝罪
問題の責任を取り、港前社長は今年1月に既に社長職を辞任しています。辞任会見の場で、港氏は「人権コンプライアンスについての対応を誤り、女性への会社としての対応が至らず、放送業界の信用失墜にも繋がりかねない事態を招いてしまった」ことについて深く謝罪しました。
フジテレビが提訴する港浩一前社長と大多亮元専務の写真
元編成部長への懲戒処分
また、このトラブルに関連して処分が焦点となっていた元編成部長に対しては、1か月の懲戒休職と4段階の降格処分が下されました。この元編成部長は、被害を受けた元女性アナウンサーが入院した後に、中居氏と問題となるやり取りをしていたことが明らかになっています。
問題となった中居氏と元編成部長のやり取り
元女性アナウンサーが摂食障害と鬱で入院した際、中居氏からの「また、連絡があり、接触障害(摂食障害)と鬱で入院。やりたい仕事もできず、給料も減り、お金も無く、あの日を悔やむばかりと」というメッセージに対し、元編成部長は「なかなかですね、、私から無邪気なLINEしてみましょうか??」と返信していました。
その後、元女性アナウンサーは心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、治療を受けて体調は回復傾向にあったものの、昨年7月に退職を決断しました。元編成部長が中居氏にショートメールで退職を伝えた際には、中居氏から「了解、ありがとう。ひと段落ついた感じかな。色々たすかったよ」との返信があり、元編成部長は「例の問題に関しては、ひと段落かなと思います。引き続き、何かお役に立てることがあれば、動きます!」と応じていました。
第三者委員会の指摘:二次加害
こうした一連の元編成部長の対応について、今年3月に報告書を公表した第三者委員会は、竹内朗委員長が「被害者に寄り添わない2次加害と評価されるものであった」と厳しく指摘しました。フジテレビはこれを受け、元編成部長を含む関係社員の処分を検討し、5月までに処分内容を公表する考えを示していました。
処分決定までの経緯
フジテレビは、元編成部長や元アナウンス室長ら5名の処分を決定しましたが、この決定プロセスにおいては異議申し立てもありました。清水社長によると、賞罰審査委員会で再度検討されたものの、結果は変わらず今回の処分結果に至ったとのことです。
今後の焦点:株主総会とファンドの動向
フジテレビは今月25日に株主総会を控えています。大株主である投資ファンドが独自の取締役候補を提案するなど、経営に対する関心が高まる中で、今回の元経営陣提訴や社員処分に対するファンドや株主からの評価、反応が今後の重要な焦点となります。一連の騒動に対する会社の対応が、株主総会でどのように受け止められるかが注目されます。