元タクシー運転手・田中敏志容疑者を再逮捕 性的暴行の疑い、ドラレコ不審点も発覚

東京都内でタクシー運転手をしていた田中敏志容疑者(54)が、昨年7月に自身が運転するタクシーに乗車した女性客への性的暴行容疑で、5月21日に警視庁捜査1課に再逮捕された。田中容疑者はかつて履歴書に〈お客様は神様ではなく対等な立場でサービスを受ける受益者です〉と記していたというが、その裏側で薬物を用いた性的暴行を繰り返していた疑いが浮上している。今回の再逮捕は、社会に再び衝撃を与えている。

性的暴行の手口と広がる被害の可能性

警視庁によると、田中容疑者は泥酔した女性客に対し、介抱するそぶりを見せた上で睡眠薬などを飲ませ、抵抗できない状態にして犯行に及んだとみられている。さらに、容疑者のスマートフォンからは乗客とみられる女性の画像や動画が約3000点も押収されており、2008年以降、同様の手口で数十人の女性が被害に遭った可能性があると見て、捜査を進めている。この卑劣な手口は、彼が履歴書に記した「お客様との正しい関係」とはかけ離れたものである。

勤務先タクシー会社が語る「稼ぎのいい運転手」の裏側

逮捕当時、田中容疑者が勤務していた大手タクシー会社の関係者は、彼について「すごい稼ぎのいい運転手だった」と証言している。しかし、事件を知った同社が社内のドライブレコーダーの記録を調べたところ、不審な点が多数見つかったという。関係者によると、「田中が女性客を乗せた時に限って、途中でドラレコの記録が途切れ、急に映像が戻るということが何度かあった」と証言。「田園調布方面で1件、その他の場所で2件など、映像が明らかに怪しいケースが3件確認された」という。また、他人の家に入って犯行に及んだことをうかがわせる不審な映像もあったとのこと。

同社が当初、田中容疑者にドラレコの提出を求めた際、「最初から(メモリーカードが)入っていなかった」と答えたが、通常メモリーカードが入っていない車両では警告音が鳴るため、これは明らかに虚偽であった。会社側がこれを不審に思い、調査可能な範囲で調べを進めた結果、様々な事実が明らかになったという。

容疑者の「不相応な生活」と周囲の反応

同関係者は、田中容疑者の勤務態度について「営業収入は上げていたので、しっかり仕事をしていると思っていた」と語る一方、彼の私生活についても言及。「見栄えにこだわっていたのか、派手な柄シャツを着て、国産の高級車に乗っていた」と述べている。また、ローン会社から督促の電話が会社にかかってきたこともあり、「数字上は稼いでいたが、分不相応な生活を送っていたのではないか」と推測している。今回の事件を知り、「客から金を盗んでいるなども知らなかったし、騙されたという気持ちでいっぱいだ」と、驚きと落胆の表情を見せている。

性的暴行容疑で再逮捕された元タクシー運転手、田中敏志容疑者(左)と彼が乗っていたとされる国産高級車(右)。「分不相応な生活」との指摘も。性的暴行容疑で再逮捕された元タクシー運転手、田中敏志容疑者(左)と彼が乗っていたとされる国産高級車(右)。「分不相応な生活」との指摘も。

自宅周辺の取材からは、勤務先での顔とはまた別の顔が浮かび上がってきたとの情報もある。

一見、「稼ぎのいい運転手」であり、カスタマーハラスメントへの問題意識を示す発言をしていた田中容疑者。しかしその実態は、ドライブレコーダーの改ざんを疑わせる不審な行動や、多数の女性に対する性的暴行を繰り返していた可能性が浮上している。彼の言葉と行動の間の深い溝、そして見過ごされがちな「不審な点」がいかに重大な結果に繋がりうるかを示す事件として、今後の捜査の進展が注視される。

[Source link] (https://news.yahoo.co.jp/articles/fc69f74bec878afeb86b439e7c0966db325cafdb)