日韓の自発的寄付で補償 徴用工問題で韓国国会議長が法案 支援者らは反発





韓国の文喜相・国会議長

 【ソウル=名村隆寛】韓国最高裁が昨年、いわゆる元徴用工の訴訟で日本企業に賠償を命じた判決をめぐり、韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が問題の解決に向けてまとめた法案の詳細が明らかになった。

 聯合ニュースなどが27日までに伝えたところによると、法案は日韓の企業や個人の寄付金で3千億ウォン(約280億円)規模の基金を設立し、元徴用工と主張する韓国人ら約1500人に対し「慰謝料」や「慰労金」として支給する内容だ。勝訴した原告や提訴準備中の人のほか、元慰安婦の女性らも対象となる。

 この法案による制度の開始から1年半以内に受け取りを請求しない場合、「時効」として元徴用工らの請求権は消滅するとの規定も盛り込まれている。文議長は年内の発議と成立を目指しているという。

 基金には、2015年の慰安婦問題をめぐる日韓合意に基づき日本政府が10億円を拠出し設立され、今年7月に韓国政府が一方的に解散した「和解・癒やし財団」の残金約60億ウォンも組み入れられる。元慰安婦の支援も行われ、運営経費は韓国政府の負担となる。

 文議長がまとめた法案に対し、韓国国内では日韓関係改善に向け肯定的な意見がある一方で、元徴用工や支援団体などは反発している。27日には約20の支援団体や弁護士らが韓国国会前に集まり、「被害者の人権と尊厳を無視するものだ」と文議長に抗議し、案の撤回を要求した。「法的権利の行使を妨げる」「真の謝罪なのか」などと訴え、日本政府による謝罪を求めた。

 集会には元慰安婦の支援団体「正義記憶連帯(旧・挺対協)」も参加した。

 日本政府は徴用工問題について、1965年の日韓請求権協定で「最終的に解決された」とし、韓国最高裁の判決が協定に反しているとの立場で、韓国政府に「適切な措置」をとるよう強く求め続けている。

 文議長が複数の関係者に話を聞き、法案の内容を変える可能性もある。ただ、慰安婦問題をめぐる日韓合意は市民団体など世論の反発を招き、文在寅(ムン・ジェイン)政権下でほごにされた。合意に基づき設立された財団も韓国政府に解散された経緯がある。

 今回も解決案に支援団体が強く反発しており、法案の立法化は厳しいとの見方も根強い。文議長は今月初めに訪日し、早稲田大で講演した際に、法案をまとめたことを表明していたが、詳細な内容は明らかにされていなかった。



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