最近、世間を賑わせているニュースとして「米」を思い浮かべる人も少なくないだろう。昨年から続く「米不足」「米価格の高騰」により、政府は2月に備蓄米を放出した。しかし価格は期待通りには下がらず、小泉進次郎農林水産大臣(44)は事態打開のため、備蓄米の「随意契約」を導入した。今回の随意契約で販売された備蓄米は2022年産と2021年産で、いわゆる古古米・古古古米にあたるため、消費者からは「味」や「品質」に不安の声も聞かれる。「米が手に入らないのは困るが、普段食べ慣れているおいしい米が食べたい」というのが消費者の本音だろう。こうした背景を踏まえ、本誌はWEBアンケートツール「Freeasy」を利用し、20~60代の男女500人を対象に「好きな米の品種」についてアンケート調査を実施した。
日本人に愛される米の品種
第3位:ゆめぴりか
第3位には、「北海道から日本一の米を」のスローガンのもとに開発された「ゆめぴりか」がランクインした。かつて北海道は、気候が稲作に向かず「米がおいしくない」と言われることもあったが、約10年に及ぶ品種開発によって誕生した「ゆめぴりか」は、「北海道米の技術の集大成」とも称される。甘みが際立ち粘りが強い品種で、日本穀物検定協会が毎年発表している「米の食味ランキング」では、最高評価の「特A」を14年連続で獲得している。また、ANA国際線ファーストクラスの機内食にも採用されるなど、その品質は高く評価されている。
アンケート回答者からも「甘み」を評価する声が多く聞かれた。また、炊き立てだけでなく、冷めてもおいしく食べられる点も支持されている。「食べた人にしっかり届く『おいしさ』」が、「ゆめぴりか」を第3位に押し上げたと言える。
- 《ふっくらしていて噛み応えもあるし、甘味もあって大好きです》
- 《甘みがあり美味い》
- 《もっちりして美味しい》
- 《冷えても美味しい》
第2位:あきたこまち
第2位に選ばれたのは、バランスの良さが特徴の「あきたこまち」だ。「コシヒカリ」と病気や寒さに強い「奥羽292号」を交配して、昭和59年に秋田県で誕生した。秋田県にルーツがあると言われる歌人「小野小町」にちなんで命名されたという。現在は秋田県だけでなく全国各地で広く生産されており、「馴染みがある」という声も多く寄せられた。
「あきたこまち」の最大の特徴は「バランスの良さ」にあると言われる。程よい粘り気と、甘み・旨味のバランスが取れており、どんなメニューとも合わせやすい万能な品種だ。さらに、冷めてもおいしく、お弁当などにも適しているため、日常的に使いやすい点も人気の理由だ。長く親しまれ、日本の食卓に馴染んだ「あきたこまち」が第2位を獲得した。
- 《馴染みがあるから》
- 《硬すぎず柔らかすぎず、味も平均でどの料理にも邪魔にならずたべやすい》
- 《味のバランスがよく美味しいお米だから》
- 《いつも食べていていつでもおいしい》
第1位:コシヒカリ
圧倒的な人気を集め、第1位に輝いたのは「コシヒカリ」だった。「コシヒカリ」は、数あるブランド米の中で最も知名度が高い品種の一つと言えるだろう。発祥は福井県だが、昭和31年に新潟県の奨励品種として登録された。現在は東北から九州に至るまで全国各地で栽培されているが、特に有名なのは新潟県の「魚沼産」だ。豊富な雪解け水と昼夜の寒暖差が大きい気候の中で作られた「魚沼産コシヒカリ」は、日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」で長年にわたって最高評価「特A」を獲得し続けている。
コシヒカリの特徴は、その強い「甘み」と「もっちりとした粘り」、そして「炊きあがりのツヤと香り」にある。和食に合う米として、日本の食卓を長年支えてきた品種だ。新しいブランド米が次々と登場する中でも「コシヒカリ」の人気は根強く、今回の調査でも得票率45%と、2位以下を大きく引き離してトップとなった。
- 《代表的な日本のお米だから》
- 《好きな品種はいくつもあるが、コシヒカリならどこの産地でも間違いない》
- 《米の甘みが高く、一粒ごとに中身が詰まっている感じがするため美味しい》
- 《一番メジャーで間違いなくおいしい》
結論
今回の調査では、消費者が日頃感じる「米不足」や「価格高騰」への懸念がある中でも、やはり品質と味に優れた品種への強いこだわりがあることが明らかになった。特に「コシヒカリ」は、その知名度と長年の実績に裏付けられた確かな美味しさで、圧倒的な支持を得た。今後、米の供給状況や価格がどう変動するにしても、消費者が求める「おいしい米」の基準は変わらないだろう。