11月26日に行われた党首討論で、高市早苗首相が「政治とカネ」問題に対して発した「そんなこと」という言葉が、政界に深刻な波紋を広げている。この発言は、SNS上でも「最も言ってはいけない発言」として強い不信と反発を招き、年末年始の政局に混迷をもたらす可能性が指摘されている。与党内からも「重大な政権危機につながりかねない」との不安の声が上がっており、高市政権の対応が注目される。
党首討論での波紋
問題の発言は、立憲民主党の野田佳彦代表との質疑応答の終盤に飛び出した。野田代表は、石破茂前政権下で自民党が大敗し少数与党に転落する原因となった「裏金事件」に象徴される「政治とカネ」問題について高市首相の認識を問いただした。これに対し、高市首相は「そんなことよりも、ぜひ、野田総理、(国会議員)定数の削減やりましょう」と切り捨てた形だ。この発言は、いわば“捨て台詞”として発せられたものだが、各方面から厳しく問題視されている。
野田代表との攻防
野田代表は、28分の持ち時間のほとんどを中国の「台湾有事」発言への責任追及や、物価高騰につながりかねない超大型補正予算案への反論に費やした。その上で最後に、「政治とカネ」をめぐる高市首相の対応を追及した。具体的には、昨秋に当時の石破首相と約束した企業・団体献金の受け皿である政党支部の実態調査結果についてただした。これに対し、高市首相は「御党に示すという約束であるとは思っていない」と述べた後、前述の「そんなことよりも」発言で応じた。
失言が示す「本音」と批判の背景
高市首相の「『企業・団体献金』問題より、定数削減のほうが重要」という認識は、一連の質疑応答の中で思わず飛び出した“本音”であると指摘されている。自民党長老は「売り言葉に買い言葉となる中で、思わず飛び出した“本音”」と分析している。しかし、「ここ数年の『政治とカネ』問題をめぐる自民党の対応の拙劣さが、衆参選挙で敗北した最大の要因」であったことは、自民党の選対担当者も認める事実だ。この背景から、与野党問わず、「高市首相の発言は許せない」との批判が相次ぐ事態となっている。
党首討論で「政治とカネ」問題について発言する高市首相
与党内の懸念と今後の政局
高市首相の今回の発言は、政界だけでなく一般市民の間でも大きな波紋を広げている。SNS上では「最も言ってはいけない発言」として、政権への不信感と反発が拡大。与党内からも「重大な政権危機につながりかねない」との不安の声が上がっており、今後の政局運営に暗い影を落としている。年末年始にかけて、この発言がどのような影響を及ぼすか、与野党の動きが注目される。政権の信頼性に関わるこの問題に、高市首相が今後どのように対応するかが試される局面だ。




