大阪・関西万博「2億円トイレ」は期待以上?平日来場で見えたリアルな会場の雰囲気

メディアでは連日、運営トラブルや課題が報じられている大阪・関西万博。しかし、実際に会場を訪れた人々からは意外な声も聞かれます。特にSNSなどでは「楽しかった」「良かった」というポジティブな感想も少なくありません。熱狂的な万博ファンや流行に敏感な層だけでなく、一般の来場者は今、万博をどう感じているのでしょうか。筆者は開幕から1カ月半が過ぎ、コア層の来場が一巡したと思われる5月下旬の平日、再び大阪・関西万博の会場へと足を運びました。現場で見たリアルな雰囲気と、話題の施設についてレポートします。

会場へのアクセスと開場前の様子

今回の訪問は5月末の平日火曜日でした。午前8時、開場時間の1時間前に万博の東入場ゲートに到着しましたが、すでに長い待機列ができていました。夢洲駅からのアクセスはスムーズで、開幕日ほどの殺気立った雰囲気はなく、どちらかというと「のんびりムード」が漂っているように感じました。

5月下旬平日に訪れた大阪・関西万博の会場ゲート付近の様子5月下旬平日に訪れた大阪・関西万博の会場ゲート付近の様子

入場体験と現場の雰囲気

午前8時50分頃に開場が始まり、来場者が続々とゲートを通過しました。何人かの来場者に話を聞いたところ、ゲートの列に並んでから入場までにかかった時間は30分から40分程度だったようです。開幕日と比較すると、人の数は落ち着いており、全体的にリラックスした雰囲気が会場内に広がっていました。

万博の見どころ「2億円トイレ」を体験

万博会場の注目ポイントの一つに、若手建築家がデザインしたスタイリッシュな「デザイナーズトイレ」があります。会場内には8カ所のデザイナーズトイレがあり、中でも建築費用が1億5000万円から2億円近いとされる「2億円トイレ」は3カ所設置されています。以前、排水ポンプのトラブルで使用できなくなっていた「トイレ5」も、この日はすでに解消されていました。

「トイレ5」は、カラフルなブロックを組み合わせたような斬新な外観が特徴です。内装も外観と同じカラー一色で統一されており、クールな空間が広がります。男性用、女性用、ジェンダーフリー、バリアフリーとエリアが分かれており、男性用も全て個室になっています。色鮮やかな外から1色に統一された個室に入ると、どこか落ち着ける不思議な感覚があり、広すぎず狭すぎないスペースは非常に使いやすい設計です。外観の個々の建屋が並ぶデザインも、一般的なトイレとは異なる面白さがあり、デザイン性と機能性を兼ね備えた万博の見どころの一つと言えるでしょう。

その他の高額デザイナーズトイレ

他の「2億円トイレ」もユニークです。一つは、屋根に登ることができ、周囲の「静けさの森」と一体になるような木造の「トイレ6」。もう一つは、傘のようなカラフルな屋根が特徴の「トイレ3」です。特に「トイレ3」は休憩所に近い機能を持っており、寝転がれるスペースや、おむつ交換台、授乳室の個室が並び、パウダーコーナーや調乳スペースも設けられています。これらのデザイナーズトイレは、どれも日常から少し離れた特別な空間を提供し、リラックスしたり気分転換したりするのに最適です。

大阪・関西万博会場内に設置された日除け付きの休憩スペース大阪・関西万博会場内に設置された日除け付きの休憩スペース

今回の平日訪問では、開幕当初のような殺気立った混雑はなく、比較的落ち着いた「のんびりムード」が感じられました。メディアで報じられる運営面の課題がある一方で、現場では来場者が各々のペースで万博を楽しんでいる様子がうかがえます。中でも話題の「2億円トイレ」は、単なるトイレとしてではなく、デザイン性や機能性を兼ね備えた休憩・リフレッシュ空間として、万博の新たな見どころとなり得る存在です。日常から離れたユニークな体験を提供するこれらの施設は、万博の魅力を高める要素の一つと言えるでしょう。