ある朝、目が覚めたら足が腫れ上がっていて、歩くことさえ困難だったという会社員の男性(52)。異常な痛みに耐えかねて、タクシーで病院へと向かった。診察や検査の結果、わかった病名は案の定、痛風だった。
そこから彼がやり始めたこととは――。
■なんだ、この痛みは!
「なんだ、この痛みは!」
ある朝、高石和明さん(仮名)は、足の痛みとともに目を覚ました。よく見ると、右足の甲の外側――つまり小指の付け根あたりが大きく腫れている。当時42歳だった。
普段から運動は一切しないので、捻挫などの可能性は低い。睡眠中に何かにうっかり足をぶつけたのだろうと思いながらベッドから立とうとすると、激痛が走った。あまりの痛みに耐えかねて、すぐに病院へ向かった。
本連載では、「『これくらいの症状ならば大丈夫』と思っていたら、実は大変だった」という病気の体験談を募集しています(プライバシーには配慮いたします)。取材にご協力いただける方は、こちらのフォームからご応募ください。
自宅前の道路でタクシーを止めた高石さん。足があまりに痛すぎてスムーズに歩けない。「イタッイタッ」などと口走りながら、やっとのことで乗り込んだ。
「その様子を見ていたタクシーの運転手さんが『それ、痛風じゃないですか?』と。どうしてそう思われたのか聞いたら、以前、運転手さんも同じような症状が出て、痛風と診断されたということでした」(高石さん)
病院までの道すがら運転手と話し、受診前から「これは痛風に違いない」と確信した高石さん。確かに、お酒が好きでよく飲む、前夜から足がムズムズしていた、朝起きたら激痛だった……という運転手の痛風発症時の体験とほぼ同じだった。
「病院に到着すると、痛風の痛みをよく知っている運転手さんは、私がなるべく歩かなくてすむように出入り口の目の前に停車してくれました。すごく助かりました」(高石さん)
診察を受けると、医師からは「痛風ではなく偽痛風かもしれない」と言われた。というのも、身長185cm、体重76kgと、やせ型だったからだ。一般的に、痛風は肥満傾向があって内臓脂肪が多い人に多い。
いずれにしても、症状があると痛風の治療はできない。とりあえずは痛み止めの薬を飲むしかないと言われ、鎮痛薬のロキソニンを処方された。