浪人という選択を取る人が20年前と比べて1/2になっている現在。「浪人してでもこういう大学に行きたい」という人が減っている中で、浪人はどう人を変えるのでしょうか? また、浪人したことによってどんなことが起こるのでしょうか? 自身も9年の浪人生活を経て早稲田大学に合格した経験のある濱井正吾氏が、いろんな浪人経験者にインタビューをし、その道を選んでよかったことや頑張れた理由などを追求していきます。
今回は3浪して東京大学理科3類に進んだ後に退学。その後、学習院大学に進学・卒業後、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻に進み、博士課程を2年で退学。現在は教育者・哲学者・作家として活躍している大竹稽(おおたけ けい)さんにお話を伺いました。
■3浪で合格した東京大学理科3類を退学
今回お話を伺った大竹さんは、3浪で東京大学理科3類に進まれた方です。
医師になりたいと考えた大竹さんは、1浪目で名古屋大学医学部に合格、2浪目では慶応義塾大学医学部に合格したものの、諦めきれずに東大の理科3類を受け続けます。
しかし、3浪の末に合格して進んだ東大の理科3類も退学した彼は、驚きの選択をします。
なぜ別の大学に入学しても、3浪してまで東京大学理科3類にこだわったのか。
3浪して入った東京大学理科3類をやめようと思った理由はなんだったのか。詳しくお話を伺いました。
大竹さんは1970年3月、愛知県の蒲郡市に、公務員の父親と主婦の母親のもとに生まれました。
小さいころの大竹さんは、本を読んだり、山の中に入って遊ぶのが好きな子どもだったそうです。
「父方は農業の家系で、母の血筋はみな教育者の家系でした。私はそれをどちらも受け継いでいて、本を読むのが好きでしたし、山や田んぼでメダカやトンボ、クワガタを捕まえるのも好きでした。友達はそんなにいなかったのですが、自然と本が友達という感じでした」