国立日帝強制動員歴史館は、日本の植民地支配下における強制動員に関連する貴重な歴史資料の公開購入を実施することを発表しました。これは歴史館の展示、教育、および研究活動をさらに充実させるための取り組みであり、来月4日まで広く個人や団体からの応募を受け付けています。今回の日帝強制動員関連遺物の収集は、歴史の真実を記録し後世に伝える上で極めて重要です。
公開購入の対象となる遺物
今回の公開購入の対象となる遺物は、主に「対日抗争期」および「日帝強占期」(日本による植民地時代)に焦点を当てています。強制動員に関する資料全般に加え、ユネスコ世界遺産である「明治日本の産業革命遺産」に関連する資料、さらには当時の衛生、感染症、予防接種など、関連する社会史資料も含まれます。
収集対象となる具体的な資料例
強制動員の遺物としては、ロシアのサハリン、東南アジア、太平洋中西部地域など、広範な地域への強制動員に関するものが挙げられます。また、日本軍「慰安婦」、朝鮮女子勤労挺身隊に関する資料、当時の世相を伝える新聞広告、捕虜収容所や捕虜監視員に関する記録、さらには朝鮮人戦犯裁判に関する資料、朝鮮人労働者の原子爆弾被害に関する資料なども重要な収集対象です。徴用令に関する資料、徴用拒否やこれに伴う抗日運動に関する記録なども募集されています。
特に、「明治日本の産業革命遺産」に含まれる各施設、例えば佐渡鉱山、端島炭鉱(軍艦島)、高島炭鉱、三池炭鉱、八幡製鉄所、長崎造船所、雨竜第一ダムなどに関する資料は優先的に収集されます。さらに、浮島丸沈没事件のような悲劇に関連する資料も貴重な歴史的証拠として求められています。
韓国国立日帝強制動員歴史館が収集対象とする、佐渡鉱山で強制労働に従事させられた朝鮮人労働者の宿舎施設を示す写真
収集対象となる遺物の種類は多岐にわたり、地図、名簿、写真、フィルムといった視覚資料から、当時の衣類、消費財、旗、さらには証明書、賞状、手帳、アルバムといった個人にまつわるものまで含まれます。広報物、画報、個人の手紙、手記、研究叢書、裁判記録など、文字による記録も重要な歴史資料です。
応募資格と申請手続き
遺物公開購入には、個人所蔵者、文化財売買業者、法人、団体など、資格を問わず誰でも申請することが可能です。ただし、出処が不明なもの、盗難品や盗掘品など不法に取得された資料、あるいは共同所有物などは購入対象外となりますので注意が必要です。
申請を希望する方は、国立日帝強制動員歴史館の公式ウェブサイト(fomo.or.kr/museum)の「公示事項」セクションから申込書などの必要書類をダウンロードし、記入した上で電子メールなどで提出します。
国立日帝強制動員歴史館とは
国立日帝強制動員歴史館は2015年に釜山市南区大淵洞に開館した、韓国の国立施設です。日帝強制動員による被害者とその犠牲者の遺族を追悼し記念するための施設であり、同時にこの歴史に関する教育空間としての役割も担っています。第二次世界大戦における戦犯国としての日本の帝国主義に基づいた非人道的な強制動員の実態について、多角的な調査と記録に基づいた資料を展示しています。
収集された資料は、日帝強制動員の歴史的背景、実態、そしてその影響を正確に理解するための貴重な一次史料となります。今回の資料収集は、過去の悲劇を忘れず、そこから学び、未来への教訓とするための基盤を固める重要な一歩です。歴史館は、これらの遺物を通して、国内外に対し歴史の真実を伝え続けていきます。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/6ee0d28219a7fcd460b4208449c30c89f2ac29f5