ルーラ大統領、ロシアとウクライナの和平仲介役として複数国によるグループ結成を提案


南米南部共同市場(メルコスール)とEUとの貿易協定の締結促進にも言及

フランス訪問中、ルーラ大統領はウクライナ問題について、紛争の新たな激化を懸念していると述べ、ロシアとウクライナの対話を擁護した。さらに、国連の支援を得て他の国々がロシアとウクライナ間の和平交渉を引き継ぐことを提案したという。

ルーラ大統領は、停戦合意は近いと考えているが、双方が妥協する必要があると述べた。

「合意は近いのではないかと思われますが、現時点で両首脳は、自国民に自らの限界を説明するのに苦労しているのではないかと思われます。双方とも困難を抱えているため、国連主導の合議の形が、双方にとって賢明な提案を行う必要があります。それはゼレンスキー氏の立場100%でもプーチン氏の立場100%でもありません。それは可能限りの100%です」と大統領は述べたという。

パレスチナ問題についてもルーラ大統領は、強国に紛争を終わらせるよう要求し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がパレスチナ人に対して「計画的な集団殺害」を行っていると述べたという。

ルーラ大統領は、年末までに目指す南米南部共同市場(メルコスール)とEUとの貿易協定の締結を円滑に進めるため、マクロン大統領に“心”を開くよう求めた。またルーラ大統領は、必要であれば、協定に反対しているフランスの農家と協議を行うと述べた。

またルーラ大統領は、ドナルド・トランプ米大統領の関税政策と他国に関する発言を、改めて批判した。「米国がカナダをアメリカの州として併合する前に」カナダで開催されるG7に参加すると、冗談を語った。

ルーラ大統領はさらに、「グリーンランドをその手に収めたい、パナマ運河をその手に収めたい、カナダをその手に収めたいと言いながら、まるで世界貿易を掌握しているかのように全ての国に課税したいというのはやりすぎだ」と付け加えた。

オンライン・プラットフォームの規制問題について、ルーラ大統領は規制を擁護し、プラットフォーム側を批判し、議会に勇気を求めた。「議会は勇気を持つ必要がある。議会に勇気がないなら、最高裁判所が規制する勇気を持つべきだ」と述べたという。

ルーラ大統領はパリ市のアンヌ・イダルゴ市長、そして在仏ブラジル人コミュニティの代表者らとも会談した。大統領はパリ名誉市民の称号を授与され、スピーチを行った。

映画「アイム・スティル・ヒア」でも描かれたフーベンス・パイヴァとエウニッシ・パイヴァの娘であるアナ・パイヴァも、式典に出席した。ルーラ大統領は、フーベンスが軍事独裁政権によって暗殺されたことによる一家の苦難について語った。

ルーラ大統領は、17世紀に創設され、ブラジル文学アカデミーの設立に影響を与えたフランスアカデミーから叙勲を受けた。政府によれば、ルーラ大統領はこの栄誉を受けた2人目のブラジル人で、過去には1872年にドン・ペドロ2世が授与されている。

(文/麻生雅人)



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