ロシア・ウクライナ、遺体交換日程で対立 合意履行に遅れか

ロシアとウクライナの間で、捕虜及び戦死者の遺体交換に関する大規模な合意が成立したものの、その具体的な日程を巡って両国間の対立が深まっている。これは、ウクライナ侵攻に伴う人道的措置の実施に遅れが生じていることを示唆している。

ロシア側の主張と実行開始の発表

タス通信が報じた8日(現地時間)の情報によると、ロシア交渉団の専門家級代表を務めるアレクサンドル・ジョリン氏(ロシア軍参謀本部情報総局=GRU第1副局長)は、「第1回目の引き渡し分となるウクライナ軍兵士12人の遺体を交換場所に搬送した」と発表した。さらに、戦死者の遺体を積んだ列車が既に国境方向に移動を開始したと付け加えた。

ジョリン氏は、この措置が2日にトルコ・イスタンブールで行われた交渉での合意に基づくものであり、「6000人以上の軍人の遺体を返還するという約束を果たすためだ」と強調した。彼はまた、「遺体は服装や発見場所などからウクライナ軍のものと特定された」と説明した。

ロシア国防省が公開した、ウクライナ人戦死者の遺体を積んだトラックの写真ロシア国防省が公開した、ウクライナ人戦死者の遺体を積んだトラックの写真

前日には、ロシア交渉団長のウラジーミル・メディンスキー氏(クレムリン補佐官)がテレグラムで「ロシア国防省の連絡チームはウクライナ国境地域に到着したが、ウクライナ側はまだ現場に姿を現していない」と批判を展開していた。

ウクライナ側の反論と非難

これに対し、ウクライナ戦争捕虜処理調整本部は声明を発表し、ロシアの主張に反論した。同本部は「戦死者の遺体交換について決定された日付はなかった」と述べ、ロシアが捕虜交換に関する合意基準を遵守していないと指摘。「汚い術数であり捏造だ」と強く非難した。

ロシアの再反論と延期理由の推測

再びロシア側のジョリン氏は、「これは純粋な人道主義的措置であり、この決定が政治的だという議論にはコメントしない」と、ウクライナ側の非難を一蹴した。彼はさらに、「人道主義的な措置の実施が来週に延期される兆候がある」と言及し、ウクライナ側が「知っているチャンネルを通じて遺体返還のための措置が行われるという公式確認を待っている」と述べた。

ロシア側は、ウクライナが戦死者の遺族への補償金の支払いを避けたい、あるいは遺体の中に外国人が含まれている可能性を懸念していることが、引き渡し延期の理由ではないかと推測している。

このように、ロシアとウクライナの間で人道的な遺体交換が合意されたにもかかわらず、その実行段階で深刻な日程に関する意見の相違が生じている。この対立が、今後の捕虜・遺体交換プロセスの円滑な進行に影響を与える可能性がある。両国間の協議の行方が注目される。

Source: Yahoo News / 聯合ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/b45984984a81e01bee8bc8e2106496ac7d8f5cd8