長嶋茂雄氏密葬、ジャイアンツ愛と別れ OB・現役選手が功績偲ぶ

プロ野球巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄氏の密葬が7、8日に執り行われ、長嶋氏が深く愛したジャイアンツカラーのオレンジと白の花で祭壇が彩られた。斎場には長嶋氏ゆかりの品々が多数展示され、参列した多くの巨人OBらが最後の別れを惜しんだ。

長嶋氏の満面の笑みが中央に飾られた祭壇には、現役時代の背番号3のユニホーム、1959年の天覧試合で劇的な本塁打を放った際に使用したバット、そしてまな弟子である松井秀喜氏と共に受けた国民栄誉賞の記念品である金のバットなども飾られ、その輝かしい功績を物語っていた。喪主を務めた次女の長島三奈さんは、参列者に対し「この祭壇には長嶋茂雄の誇りが詰まっている」と語り、父への思いをにじませた。

長嶋茂雄氏の密葬にて、祭壇に手を合わせる巨人・岡本和真選手長嶋茂雄氏の密葬にて、祭壇に手を合わせる巨人・岡本和真選手

脳梗塞で倒れた長嶋氏の後を受け、2004年のアテネ五輪野球日本代表でヘッドコーチとしてチームを率いた中畑清氏は、8日の告別式で弔辞を述べた。「頑張るだけ頑張ってきた89年だと思います。ゆっくり休んでください」と語りかけ、さらに「そしてまた、その満面の笑みで国民の前に出てきてくれる夢を見させてください」と、長嶋氏の遺影に最後のメッセージを送った。

斎場の一角には、現役時代に愛用したバットやグラブ、ユニホームのほか、1958年にセ・リーグ新人王に輝いた際のトロフィー、63年のリーグ最優秀選手として受けた盾、71年にプロ野球史上初の通算2000安打を達成した際の記念ボールなどが展示され、長嶋氏の偉大な足跡をたどる品々に参列した巨人OBらが静かに見入っていた。左肘の故障で現在リハビリ中の現役選手・岡本和真は、展示品を見て「功績を改めて知ることができました。現在はリハビリ中ですが、復帰していい報告ができるように毎日を過ごしていこうと思います」と、ミスターへの思いを胸に新たな決意を語った。

長嶋茂雄氏への思いを胸に、本塁打を放ち「長嶋さんが打たせてくれた」と語る巨人・丸選手ら長嶋茂雄氏への思いを胸に、本塁打を放ち「長嶋さんが打たせてくれた」と語る巨人・丸選手ら

126人の巨人OBが参列した7日の通夜では、元監督の堀内恒夫氏と前監督の原辰徳氏が弔辞を読んだ。堀内氏は「長嶋さんを見て野球を始め、巨人に入った。一緒に選手同士としてプレーできたことを光栄に思っております」と、自身の野球人生における長嶋氏の存在の大きさを語った。原氏は、74年の引退試合で長嶋氏が残した「我が巨人軍は永久に不滅です」という伝説的な名言に触れながら、「私をはじめ、今の巨人軍選手にも確実に長嶋さんの志は受け継がれています。長嶋茂雄は永久に不滅です」と、師への最大の弔いを捧げ、その魂が後輩たちに受け継がれていることを力強く述べた。長嶋氏の密葬は、多くの関係者が集い、その功績を偲びながら、別れを告げる場となった。