トランプ政権の関税政策、米中小企業と市民の「生の声」TikTokに広がる

トランプ氏の2期目政権が始まり、その政策は世界に波紋を広げています。多様性の見直しや各国への高関税は多くの議論を呼び、アメリカ国内でも政策への反対デモが起きています。こうした中、ショート動画SNSのTikTokを通じ、自身の切実な思いを発信する市民が増えています。彼らはどのような状況に置かれ、何を訴えているのでしょうか。

TikTok動画でトランプ政権の政策に不満を表明するアメリカ市民TikTok動画でトランプ政権の政策に不満を表明するアメリカ市民

米中小企業が直面する現実:「関税を払うのは私です!」

ニューヨーク州マンハッタンに拠点を置く玩具メーカー「イーブー」の社長、ミア・ガリソン氏(62)は、今年の4月に初めてTikTokで声を上げました。「関税を払うのは中国ではありません。輸入業者である私たちです! この関税は中国ではなく、私たちアメリカ人を罰しています」。創業30年、子供用パズルやドミノなどを扱い、従業員は20人。生産の9割以上を中国の工場に委託しています。4月10日、トランプ政権は中国製品に対する関税を直前の20%から145%まで大幅に引き上げました。

2025年4月10日、関税政策などを閣議決定するトランプ政権の閣僚たち2025年4月10日、関税政策などを閣議決定するトランプ政権の閣僚たち

トランプ氏は選挙中も含め、「関税は相手国が支払う」という事実と異なる主張を繰り返してきました。他国に高い関税をかけることで相手国を罰し、アメリカが豊かになる、というのが彼の論理です。しかし、ガリソン氏はZoomの画面越しに現実を説明します。「10万ドル分の製品を詰めた海上輸送コンテナが米国の港に到着したとしましょう。この時、145%分の14.5万ドルもの関税を私が米政府に支払わなければ、荷物を陸揚げできません。私の払った関税が、アメリカの国庫に入るのです」。彼女は、この単純な事実を多くのアメリカ人が理解していないことに驚きを示しています。

関税急騰の影響は深刻で、ガリソン氏は4月に20人いた従業員のうち、5月までに3人を解雇せざるを得なくなりました。彼女のTikTok投稿には、製造業のアメリカ回帰こそが狙いであり、「なぜ米国内で製造しないのか」という反論も来ますが、彼女は現在の厳しい状況を訴え続けています。

TikTokで広がる、政策への「生の声」

ミア・ガリソン氏のような事例は、トランプ政権の関税政策がアメリカの中小企業や市民に直接的な影響を与えている現実を示しています。関税が輸入業者を罰し、雇用に影響を与えるという事実は、トランプ氏の主張とは異なります。TikTokを通じて発信される市民の「生の声」は、政策の現場での実態を伝える重要な手段となりつつあります。

引用元:Yahoo!ニュース オリジナル 特集