外国人国保滞納問題、川口市のごみから督促状 政府も対策へ

全国で最も外国籍住民が多い埼玉県川口市で、ごみ収集所に捨てられていた大量のごみの中から、国民健康保険料と住民税の督促状が見つかりました。これは、同市で問題となっている外国人の国民健康保険(国保)滞納問題の一端を示す出来事であり、政府も社会保障制度への「ただ乗り」を防ぐため、「骨太の方針」に対策を盛り込む方針です。

ゴミから発見された督促状の詳細

4月中旬、川口市北部の住民から市議に相談があり、現場のごみ収集所を訪れると、不法投棄とみられるごみが散乱していました。そのごみの中から、国保の保険料と住民税の滞納者へ送られる督促はがき2通が見つかったのです。宛名は中国籍とみられる漢字3文字の氏名でした。国保については年間8回ある納期の数回分が滞納されており、総額は数万円に上っていました。市は督促状に応じない滞納者に対し、より厳しい催告書を送付。その結果、1カ月後にようやく納付があったといいます。現場を訪れた若谷正巳市議は、「納付義務を怠り、さらに督促状をそのまま捨てるとは。もちろん日本人の中にも滞納者はいるが、日本に住んでいる以上は義務を果たしてほしい」と指摘しました。

川口市のゴミ収集所に散乱するゴミと発見された国民健康保険の督促状川口市のゴミ収集所に散乱するゴミと発見された国民健康保険の督促状

外国人滞納が多い背景と課題

川口市国保収納課によると、外国人の滞納者は実際に多いとのことです。その理由として、引っ越しなどによる住民の出入りが激しいことが挙げられます。例えば、留学生が1~2カ月だけ友人の家に間借りしたり、同じアパートに何人も住んでいたりする場合、通知書や督促状などの郵便物が正確に届かず、市役所に戻ってきてしまうケースが多く発生しています。また、それでも保険料を支払わない滞納者に対しては、財産調査を行ったり、外国語対応のオペレーターが電話で督促を行ったりしていますが、日本語能力の関係から、そもそも自分が国民健康保険に加入していることを認識していない人もいるといいます。国民健康保険には、住民登録をすれば外国人も加入義務がありますが、保険料を支払わなくても病院では自己負担3割で最長2年間医療を受けることが可能です。この滞納分は、主に日本人である国民健康保険加入者が負担しているという現状があります。

川口市の現状と政府の動き

川口市の外国籍住民は2024年5月1日時点で5万701人に達し、初めて5万人を突破しました。これは総人口60万8518人の8.3%を占め、全国の市町村で最も多い数です。市によると、国民健康保険の滞納者についても、中国やベトナム、トルコなど、在留者が多い国籍の人々が目立つ傾向にあるといいます。このような背景を受け、政府は社会保障制度の持続可能性を確保する観点から、「社会保障制度への『ただ乗り』」を防ぐための対策を強化する方針を固めています。現在策定が進められている政府の「骨太の方針」には、この問題への具体的な対策が盛り込まれる見込みです。ごみ置き場での督促状発見は、単なるごみ問題だけでなく、こうした社会保障制度を巡る課題が身近な場所で表面化していることを示しています。

参考文献

https://news.yahoo.co.jp/articles/de4cba7e0fb9cf17a7c6983fbac432cfaefbc453