北海道福島町でヒグマ襲撃、新聞配達員が死亡 初の町全域警報発令

12日午前2時50分頃、北海道福島町三岳の住宅地で、新聞配達中の男性がヒグマに襲われる事件が発生した。住民からの110番通報を受け駆けつけた警察官が、約2時間後に草むらで倒れている男性を発見したが、その場で死亡が確認された。男性は同町月崎の新聞配達員、佐藤研樹さん(52)だった。この事案を受け、北海道は町全域に対し、初の「ヒグマ警報」を発出し、不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。ヒグマは現在も見つかっておらず、道警などが警戒を強化している。

今年初の死亡事故、道の対応

今回のヒグマによる襲撃死亡事案は、北海道内で今年初めて発生したものだ。事態を重く見た道は、即座に福島町全域を対象とした初のヒグマ警報を発令。これにより、町民への注意喚起と警戒態勢の強化を呼びかけている。道警は、逃走したヒグマの行方を追うとともに、現場周辺のパトロールを強化している。

北海道斜里町で撮影されたヒグマの様子北海道斜里町で撮影されたヒグマの様子

事件の詳細と現場の状況

道警などによると、佐藤さんを襲撃したヒグマは体長1メートルから1.5メートルとみられている。襲撃は民家前で発生し、佐藤さんはそこから数十メートル先の草むらまで引きずられたとみられる。遺体には全身にクマの爪痕、腹部には複数のかまれた痕があった。佐藤さんは普段からクマよけの鈴を身につけていたというが、今回の被害を防ぐことはできなかった。現在、道警が詳しい死因などを調べている。

ヒグマ襲撃事件が発生した北海道福島町の地図ヒグマ襲撃事件が発生した北海道福島町の地図

事件現場は福島町役場から北東約700メートルに位置する住宅街で、近くには学校やグループホームなどの施設もある。この地域では、事件発生前の9日未明からヒグマの目撃情報が相次いでおり、ゴミ置き場が荒らされるなどの被害も報告されていた。

緊迫する現場周辺、住民に不安広がる

付近の住民からは、緊迫した状況を伝える声が上がっている。近くに住む主婦(52)は、「寝ていたら『助けて』という男性の叫び声が聞こえて飛び起きた。外を見ると、クマが男性の腕にかみつき、ものすごい速さで草むらの方へ引きずっていくのが見えた。あの光景を思い出すと、今でも体が震えるほど怖い」と当時の恐怖を語った。

今回のヒグマ襲撃による死亡事故は、地域住民に大きな衝撃と不安を与えている。道と町は連携し、逃走したヒグマの捜索と住民への注意喚起を続ける方針だ。特に夜間や早朝の外出には厳重な警戒が求められている。

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