【ソウル=桜井紀雄】韓国軍合同参謀本部は28日、北朝鮮が同日午後4時59分(日本時間同)ごろ、東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)連浦(ヨンポ)付近から飛翔(ひしょう)体2発を日本海に向けて発射したと発表した。最大約380キロ飛行し、高度約97キロに達したと探知した。日本の海上保安庁は、弾道ミサイルが発射されたとみられるとし、船舶に注意を呼び掛けた。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと分析している。
北朝鮮によるミサイルなどの発射は10月31日に「超大型放射砲(多連装ロケット砲)」と称する事実上の短距離弾道ミサイルを試射して以来で、今年に入って5月以降、13回目。韓国軍は、今回の2発も超大型放射砲との見方を示した。
日韓両政府が22日に軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)の維持を発表した後の飛翔体発射は初めて。安倍晋三首相は28日、発射を「国際社会への深刻な挑戦」とし、米韓と連携して警戒に当たると強調した。日本政府は28日、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)4大臣会合を開催。北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。
今回の発射は、米国との協議で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が年末までとした米国の再考を求める期限が迫る中、軍事的緊張を高めて米側の譲歩を引き出す狙いともみられる。
米国は協議再開を促すため、今月予定の米韓空軍合同訓練の延期を決めたが、北朝鮮は演習自体の完全中止や制裁解除を要求。25日には、韓国に近い島を視察した金氏の指示による海岸砲の発射も報じられた。