ロシアによるウクライナ侵略で約3年ぶりに再開された両国の直接交渉に関し、ウクライナのゼレンスキー大統領は、領土問題に限っては「代表団にロシア側と協議する権限を与えていない」と明らかにし、自身とプーチン露大統領による首脳会談で解決する考えを示した。10日に公開されたハンガリーメディアとのインタビューで述べた。
ゼレンスキー氏は、代表団に与えたのは停戦や捕虜交換、子供の返還などを協議する権限のみだと説明。領土問題は自身とプーチン氏のみが決定できると説明した。
ただ、プーチン氏は4日、ウクライナが露鉄道を攻撃したことで「テロ組織」に転じたと主張。「テロリスト」と首脳会談は行えないとの立場を表明しており、ゼレンスキー氏との会談が実現するかは不透明だ。
インタビューでゼレンスキー氏は、領土問題に関する自身の解決策は明かさないとしつつ、「われわれが既に明言したのは(ロシアが侵略した)占領地域を法的にはロシア領として認めないということだ」と発言。占領地域に対するロシアの一時的な実効支配を容認する可能性を示唆した。
一方、両国は10日、2日の直接交渉で合意していた捕虜交換の第2弾を行ったと発表した。9日に行われた捕虜交換の第1弾では主に25歳以下の捕虜が交換されたが、今回は主に重傷者や重病者の捕虜が対象となった。捕虜交換は今後も数日かけて続けられる予定。両国は交換した人数を公表していない。ウクライナは捕虜交換の完了次第、人数を公表するとした。
2日の交渉で両国は戦死者の遺体返還でも合意したが、これまでに遺体返還は行われていない。(小野田雄一)