世界を旅するYouTuberである森翔吾氏は、かつて人間関係に深く悩み、思い切ってそれをリセットした経験を持つ。この大胆な選択は、彼に予期せぬ成果をもたらした。それは、表層的ではない「本音」で語り合える真の人間関係を築くことだった。彼のたどり着いた独自の「人間関係リセット」そして「自分探しの旅」から見えてきたものとは何だろうか。
「自分探しの旅」はなぜ始まったのか
30代に入り、森氏は自身の「自分探しの旅」を開始した。輸入販売の仕入れを行いながらも、一つの場所に半月から1カ月滞在するという独自のスタイルを確立。これに対し、「時間の無駄」「もっと儲けるべきだ」という声もあった。しかし、森氏にとって「無駄な時間」こそが宝物だった。29歳で会社を辞め、自由な身になったとき、「自分がどんな暮らしをし、どんな人生を送りたいのか」を真剣に考える必要性を感じたのだ。起業して仕事は軌道に乗せたものの、自身の「考え」や「求めていたこと」を見失っていた。これは、仕事に追われ、周囲に気を使い、問題を起こさないように日々を過ごす中で、「本来の自分」が見えなくなっていたためだ。
「観光」から「滞在」へ 旅のスタイルを変えた理由
かつてサラリーマン時代にも海外渡航経験はあった。ニューヨークや香港、台湾など、エネルギッシュな都市での観光は非現実感や開放感を与えてくれたが、それはあくまで「観光」に過ぎなかった。「あそこもここも」と欲張り、疲れやすく眠くなる体質の森氏は、旅先で感じたことを深く内省する余裕がなかった。そこで、森氏は旅のスタイルを根本的に変えることを決意。「観光をしない」旅だ。ニューヨークに行ってもマンハッタン中心部ではなく、滞在先のブルックリン周辺のみで過ごす。朝はゆっくり起き、お気に入りのカフェで読書や仕事を少し。眠くなれば部屋で昼寝。夕方には川沿いを散歩する。このような日々を過ごす中で、森氏は「この国、この街で暮らすのはどうだろうか? 移住は可能か?」と考え、そして最も重要な要素に気づく。それが、異国の地で「孤独な時間」を作り、自分の心と向き合うことだった。
孤独な時間で「自分の心の声」を聞くメソッド
言葉もろくに通じず、友人や知人もいない異国の地。ここで意図的に孤独な時間を作ることで、森氏は自身の心の声に耳を澄ませた。その際のテーマは以下の3つに絞られた。
- やりたいこと
- なりたい自分
- 欲しいもの
スマホやPCから離れ、ペンと紙だけを用意し、ひたすら思いついたことを書き出す。頭を冷やしてから優先順位をつける作業を繰り返す。そうすることで、次第に自分が本当に求めていたものが見えてくるようになったという。デジタルツールから意図的に離れる「デジタルデトックス」が必要な時もあるのだ。
旅先で自分と向き合う男性の後ろ姿
旅が教えてくれた人間関係の本質
森氏の経験は、人間関係や生き方に悩んだとき、日常から離れて意図的に孤独な時間を作り、自分自身と深く向き合うことの重要性を示唆している。世界という広い視野の中で自己を内省し、本当に価値を置くものを見つけ出すプロセスは、結果としてより正直で豊かな人間関係を築くための礎となるのだ。自身の心に「本音」で向き合うことこそが、望む人生を歩むための第一歩となる。
[出典] Yahoo!ニュース(PRESIDENT Online掲載) https://news.yahoo.co.jp/articles/5b89bc3045db23aca041a8ffae716285c31b9f30