高知市立長浜小、今夏の水泳授業中止 事故後、保護者の8割届かず

高知市立長浜小学校は、昨年発生した水泳授業中の死亡事故を受け、今夏の水泳実技授業を見送る決定を下しました。保護者への参加確認の結果、実施基準である児童の8割以上の参加希望にわずかに届かなかったためです。授業時間は、水場における安全管理の座学などに充てられる方針です。

事故の経緯と学校の安全対策

昨年7月、同校では4年生だった松本凰汰君(当時9歳)が水泳授業中に亡くなる痛ましい事故が発生しました。この事故を受け、学校側はプールの深さを全児童の肩が出る高さである80センチに設定し直すなど、安全管理指針を新たに策定。原則として教員4人を配置するなど、安全確保に努める方針を示しました。学校は先月末の保護者説明会でこれらの指針を説明し、児童の8割以上の参加希望が得られれば実技授業を実施するとしていました。

高知市内の学校のプール。昨年水泳事故が発生した長浜小の関連報道写真高知市内の学校のプール。昨年水泳事故が発生した長浜小の関連報道写真

参加希望者、基準にわずかに届かず

水泳実技授業の実施を判断するための保護者向け参加確認書では、全児童248人のうち、参加を希望したのは198人、割合にして79.8%でした。これは、学校が設定した実施基準である8割(200人)に、わずか1人足りない結果となりました。参加を希望しなかった保護者からは、「プールに入るのが怖い」という理由が多く挙げられたほか、「事故が発生してまだ1年も経たないのに、もうプールを再開するのか」といった不安の声も寄せられたといいます。この決定について、高知市の永野隆史教育長は記者会見で、「見送りの決定は賢明な判断だったと考えています。1人足りなかったという事実を、安全管理への一層の努力を求める声と厳粛に受け止めています」と述べました。

児童・保護者アンケートが示す不安

学校が5月中旬に行った水泳授業に関連したアンケートでは、2~6年生の児童の約2割が「プールに入るのが怖い」、約3割が「事故のことを考えてしまい、頭から離れない」と回答しており、事故による心理的な影響が色濃く残っていることがうかがえます。同時に実施された保護者アンケートでも、自由記述の回答者の14%が、「プール授業の再開に不安がある」という主旨の訴えを寄せていました。今回の見送り決定は、こうした児童や保護者の根強い不安や懸念を反映したものと言えます。

今夏、高知市立長浜小学校での水泳実技授業は見送りとなりましたが、学校は安全管理に関する座学などを授業時間に充てる方針です。今回の決定は、過去の痛ましい事故から学び、児童や保護者の心理的な安全も考慮に入れた結果であり、教育長もその判断の賢明さを認めています。水場での安全教育の重要性が改めて浮き彫りとなった形です。

参考資料

Yahoo!ニュース(読売新聞オンライン)