【エルサレム=福島利之、テヘラン=吉形祐司】イスラエル軍は13日未明、イランの核施設と軍事施設を標的に戦闘機で100か所以上を攻撃したと発表した。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は報復を宣言し、イランからは100機以上の無人機が発射された。中東の2大軍事大国間の武力衝突で、地域情勢が一層混迷するのは必至だ。
イスラエルのイランへの攻撃は昨年4月以降、3度目。イスラエル軍によると、200機の戦闘機が投入され、330種類の弾薬が投下された。初めて核施設を攻撃したほか、ミサイル発射台やイランの軍司令官らが標的となった。
イラン原子力庁によると、ウラン濃縮施設のある中部ナタンツの核施設が攻撃で被害を受けた。国営テレビは、モハンマド・バゲリ軍参謀総長や精鋭軍事組織「革命防衛隊」のホセイン・サラミ司令官ら複数の指揮官のほか、元原子力庁長官や地元大学の核科学者も死亡したと伝えた。
イランの首都テヘランでは13日未明、爆発音がとどろいた。メヘル通信はテヘラン州で78人が死亡、329人が負傷したと伝えた。イラン赤新月社は12州で120人以上が負傷したと発表した。イラン国営テレビは、日中も北西部タブリーズの空港などで爆発音がしたと報じている。
ハメネイ師は声明で、イスラエルに「厳しい懲罰を覚悟せよ」と報復を宣言した。イスラエル軍によると、イランからイスラエルに向けて100機以上の無人機が発射されたが、迎撃したという。
イスラエル軍は、イラン攻撃の理由について、〈1〉核兵器保有の推進〈2〉数千発の弾道ミサイルの保持〈3〉中東各地の代理勢力への武器と資金の提供――を挙げ、「作戦の目的はこれらの脅威を取り除くこと」とした。
イスラエルの治安当局者は記者団に、作戦は数日間に及ぶと説明した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は13日朝、「初動の攻撃を成功裏に終えた。さらに多くの成果を上げる」との声明を出した。
外務省は13日、イラン全土とイスラエル全土の危険情報を上から2番目のレベル3「渡航中止勧告」以上に引き上げた。