東洋経済が毎年公表している「住みよさランキング2025」の全国編が発表されました。このランキングは、安心度、利便度、快適度、富裕度の4つのカテゴリーに基づく20項目からなる指標の偏差値を平均し、総合評価として順位付けを行うものです。1993年から続くこの評価において、2025年のトップに輝いたのは福井県福井市でした。常にトップ10入りを維持してきた福井市は、歴史的な「小京都」としての顔と、現代の製造業集積地としての特徴を併せ持ち、「住みよさ」が高い評価を受けています。
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福井市が初の全国1位を獲得
福井市は、過去数年にわたりトップ10の常連でしたが、今回ついに初の全国1位となりました。製造業が盛んな活気ある都市であり、歴史的な背景も評価の要因と考えられます。また、2024年3月には北陸新幹線が福井駅まで延伸開業し、首都圏とのアクセスが大幅に改善されました。この新幹線効果は今回のランキングデータに直接反映されているわけではありませんが、今後の交通利便性の向上は産業や観光への好影響を通じて、さらなる都市の活性化につながる潜在力を持っています。
上位陣は顔ぶれ変わらず、評価はかつてないほど伯仲
今回の「住みよさランキング」では、上位4市は福井市(昨年2位)、東京都文京区(同3位)、熊本県人吉市(同1位)、愛知県長久手市(同4位)と、昨年のトップグループと同じ顔ぶれとなりました。しかし、特筆すべきは、これらの上位陣の総合評価(偏差値)が極めて僅差であった点です。昨年は1位と2位の差が0.6ポイントあったのに対し、今回は上位4市がわずか約0.35ポイントの範囲にひしめく大混戦となりました。全体的に見ても、昨年と比較して順位の大きな変動は少なかった傾向が見られます。
ランキング変動を抑えた要因:子ども医療費助成制度の普及
順位の変動が比較的少なかった背景にはいくつかの要因が考えられますが、その一つとして「子ども医療費助成」制度の普及が挙げられます。この制度は、自治体の判断で比較的短期間に変更や拡充が可能な指標であり、従来はランキング順位に影響を与える要素の一つでした。しかし、今回の調査では、約700の自治体で「18歳まで・所得制限なし」という水準が標準的な制度として定着したことが確認されました。全国的な人口減少が進む中、子育て支援の拡充は多くの自治体で喫緊の課題となっており、今後もその広がりには注目が集まるでしょう。
ランキング算出対象と全体像
「住みよさランキング2025」の対象となったのは、2025年6月時点で全国に存在する市と特別区(東京23区)です。ただし、特別区のうち千代田区、中央区、港区の3区は集計対象から除外されており、合計812市区が分析の対象となりました。詳細なランキング(1位~200位)や算出に用いられた20項目の具体的な指標については、東洋経済オンラインの本記事にて確認することができます。
まとめ
2025年の「住みよさランキング」では、福井市が長年の実績を元に初の全国1位を獲得しました。上位4市の顔ぶれは昨年と同じながらも、評価が極めて拮抗し、熾烈な競争が繰り広げられたことが明らかになりました。また、子ども医療費助成制度のような子育て支援の普及が、ランキング全体の変動を抑える要因の一つとなった可能性が示唆されています。このランキングは、自治体の取り組みや地域の特性が「住みよさ」にどう影響するかを示唆する重要な指標と言えるでしょう。