「国家の存亡をかけた戦い」と称されるほど、イランとイスラエルの衝突は戦線を拡大。互いに攻撃姿勢を強める両国の対立は世界経済に影響を及ぼし、米中ロといった大国も動きを見せています。
拡大するイランとイスラエルの軍事衝突
攻撃の応酬と国際社会・日本への波紋
泥沼化する軍事衝突の詳細
イスラエルは13日、イランに対する大規模な軍事作戦を開始し、イラン国内の核関連施設を含む100カ所以上の軍事拠点を標的に攻撃を実行しました。この攻撃でこれまでに224人が死亡したと報じられています。さらに14日には、世界的にも重要なエネルギー供給拠点である世界最大の南パルス・ガス田までもが攻撃対象となり、戦線がエネルギー関連施設にまで拡大したことが確認されています。
対するイランも黙ってはおらず、激しい反撃に出ています。イランから多数のミサイルが発射され、イスラエル最大の経済都市であるテルアビブなどで複数の建物に直撃、これまでに14人の死者が出ています。両国はその後も、それぞれの重要な石油関連施設を攻撃し合うなど、事態は収束の兆しを見せず泥沼化の一途をたどっています。
大国の反応と日本のエネルギー安全保障
緊迫する中東情勢を受け、イランの要請に基づいて13日には国連安全保障理事会が緊急会合を開催しましたが、残念ながら具体的な事態打開に向けた決議には至りませんでした。常任理事国であるアメリカはイスラエルへの強い支持を改めて表明しています。
一方で、アメリカはロシアとも米ロ電話会談を実施しました。この中で、プーチン大統領はイスラエルの攻撃を非難しつつも、「仲介役を担う用意がある」との考えを伝達したとされています。また、アメリカ国内ではトランプ前大統領が自身のSNS上で「イランとイスラエルは協定を結ぶべきだ」と両国の和解を呼びかけています。協力関係にある中国は、王毅外相がイランへの支持を改めて表明するとともに、イスラエルの行動を「国際法違反」と厳しく批判するなど、大国間の立場は大きく分かれています。
このイランとイスラエルによる軍事応酬は、遠く離れた我が国日本にとっても看過できない影響を及ぼす可能性があります。特に、日本への原油輸送タンカーの約8割が通過する極めて重要な海上交通路であるホルムズ海峡がもし何らかの理由で封鎖されるような事態となれば、国際的な石油価格の高騰は避けられず、日本の経済活動にも深刻な打撃を与えかねません。これに対し、石破茂総理大臣は、我が国へのエネルギーの安定的な供給確保に万全を期すよう関係各所に指示したことに言及しており、中東情勢の今後の推移が引き続き緊密に注視されています。
まとめ
イランとイスラエルの衝突は、互いの主要施設を標的とする激しい応酬となり、事態は深刻化しています。世界経済への影響、特にエネルギー供給の安定性への懸念が高まる中、米ロ中といった大国の今後の動きと、それがホルムズ海峡経由の日本へのエネルギー供給にどう影響するかが、引き続き焦点となります。
[出典] テレビ朝日(「グッド!モーニング」2025年6月16日放送分より)