糸口見えぬロシアvsウクライナの停戦、もはや「第3次世界大戦型」陣営に分かれた戦争になりつつある


【図】ウクライナ戦争の経緯

 (西村卓也:フリーランス記者)

 ——停戦に向けてロシアとウクライナが直接交渉を続けていますが、合意に至らないのはなぜでしょう。

 松田邦紀・前ウクライナ大使(以下、敬称略):ウクライナ戦争で獲得できなかったものを外交で手に入れようと、ロシアが多くの要求を突きつけているからでしょう。占領地をロシア領にし、ウクライナ軍を撤退させる。ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)に加盟せず、外国軍も駐留させない。それだけでなく、バルト三国からのNATO軍撤退などもロシア側の要求に含まれています。

 ——対するウクライナの主張は? 

 松田:まずは30日間、即時・全面的に停戦し、落ち着いてから終戦に向けた交渉を進めるという内容です。この内容は昨年秋から今年にかけて、ウクライナが米国や欧州各国とすり合わせてできたものです。今年2月には米国ホワイトハウスの大統領執務室で、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が口論する場面もありましたが、ウクライナと米欧は基本的には一致しています。

 ウクライナも欧州にロシアへの圧力を強めるよう求め、欧州連合(EU)はロシア産原油の価格引き下げを盛り込んだ新たな制裁案を準備しているところです。

 ——ロシアが強硬な要求を掲げ、その旗を下ろさないのはなぜですか。



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