4~6月に学校の先生が休職するケースが全国で相次いでいる。特に、メンタルの不調から新年度に復職したが、再び休職してしまう教員が多いという。背景には教育現場の復職支援体制があるという。
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「20代の先生が、4月半ばに急に来なくなったことがありました。職員室ではゲームの話など冗談を言う明るくて穏やかな先生だったのですが、本当は悩みを抱え込んでいたのでしょうか。経験年数の割に仕事ができる人だったので、たくさん任されて、負担が重くなっていたのかもしれません」
こう話すのは関東の公立高校の40代の教員だ。
新年度になったばかりで、クラスはまだ落ち着かない時期だった。担任は、副担任が一時的に代役を務めたが、結局、この教員は職場に戻らなかった。生徒には「先生は長いお休みをされます」と説明して、正式に担任を変更することになった。
精神疾患で休職する教員の増加が問題になっている。文部科学省によると、2023年度に精神疾患で休職した公立の小中高の教員は7119人で、3年連続で過去最多。子どもや保護者対応の難しさ、職場の人間関係などが要因とされるが、文科省は休職の時期までは明らかにしていない。休職の時期を探っていくと、教育現場の「ある習慣」が休職の要因となっている可能性が出てきた。
2023年から神戸市、那覇市、千葉市の教育委員会と組んで「教職員のメンタルヘルス対策」を支援しているメンタルヘルステクノロジーズ。3つの教育委員会での休職の実態を集計したところ、休職をめぐる「傾向」が見えてきたという。
「教職員の場合、休職者の全体の約半数が4~6月に休職しており、平均の3~5倍に上ります」
社長の刀禰真之介さんはこう分析する。
「現状、一般企業では休職者の発生について季節性は見受けられませんが、教員にとっては春が過酷な模様です」(刀禰さん)
東北の30代中学校教員は「春に休職する先生はいました」と話す。
「同僚の教員は、メンタル疾患で休職していたのですが、4月に復帰しました。ゴールデンウィークまでは踏ん張ったけれど、その後は朝の出勤が2、3時間遅れるようになり、週に1、2日休むようになって、6月からはほとんど休むようになりました」