イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イラン最高指導者アリー・ハメネイ師の暗殺計画を排除しない考えを表明し、これが両国間の「争いを終結させる」ものだとの見解を示しました。イスラエルとイランの間の緊張が高まる中、この発言は注目を集めています。
行動の正当化と「現代のヒトラー」
ネタニヤフ首相は米ABCニュースのインタビューに応じ、イランへの攻撃を同国の「牙を抜く」ために必要だと正当化しました。さらに、ハメネイ師を「現代の(ナチス・ドイツ総統アドルフ・)ヒトラー」になぞらえ、強い言葉で非難しました。ドナルド・トランプ米大統領が、イスラエルによるハメネイ師暗殺計画が紛争をエスカレートさせる懸念からこれを拒否したとの報道について問われると、ネタニヤフ氏は「これ(ハメネイ師暗殺)は紛争をエスカレートさせるのではなく、終結させるものだ」と反論しました。
イランに関する発言を行うイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相。中東エルサレムでの記者会見にて(2025年5月21日撮影)
イスラエル vs. イラン:「永遠の戦争」か
首相は続けて、「イランは『永遠の戦争』を望んでおり、われわれを核戦争の瀬戸際に追い込んでいる」と述べました。その上で、「実際、イスラエルは、この侵略を阻止・終結させようとしている。これを実現するには、悪の勢力に立ち向かうしかない」と強調しました。イスラエルがハメネイ師を具体的に標的としているかどうかについては明確にせず、「われわれは必要なことをしている」と述べるにとどめました。
標的を巡る発言と衝突の構図
イスラエルがイラン全土に攻撃を仕掛け、イランがミサイルで応酬するなど激しい衝突が続く中、ネタニヤフ首相は攻撃的な姿勢を崩していません。主要同盟国である米国の国民に自身の立場を理解してもらうため、首相はこの2日間で2回、米メディアの長時間インタビューに対応しました。その中で、イスラエルとイランの紛争を「文明と野蛮の戦い」と位置づけて説明しました。
米国への警告とハメネイ師への非難
ネタニヤフ首相は、米国民はイランの核兵器取得への取り組みと、増強される弾道ミサイル能力の両方について深く懸念すべきだと訴えました。「きょうのテルアビブは、あすのニューヨークだ」と述べ、イランの脅威が米国にも及ぶ可能性を示唆しました。さらに、ハメネイ師の「反ユダヤ主義的で無分別な狂信」と、イスラエルの「命脈を絶つ」ための代理攻撃を支援している点を改めて激しく非難しました。「彼は現代のヒトラーのようだ。決して止まらないが、われわれは彼が脅迫を実行する手段を持てないようにするつもりだ」と決意を述べました。
最終的な正当化と平和への道
最後に、イスラエルによる大規模な攻撃を正当化し、イランの核開発計画を後退させることは、「想像を絶する最も恐ろしい戦争を防ぎ、中東に平和をもたらす」ことにつながると主張しました。そして、「それはイランの牙を抜くことで可能になるだろう」と付け加え、自身の強硬姿勢の目的を改めて強調しました。