「住みよさランキング」、今回は近畿版のトップ50が発表されました。滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の6府県に属する全111市を対象としたこのランキングで、大阪市が2年連続となる首位を獲得しました。しかし、その詳細を見ると、克服すべき課題も見えてきます。
ランキング概要と算出方法
この住みよさランキングは、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」の4つのカテゴリに基づき、各指標の偏差値を算出して総合評価としています。近畿版では、対象地域の市区を母数とした偏差値が用いられています。
トップの大阪市:強みと弱み
首位に輝いた大阪市は、人口約280万人を擁する西日本の中心都市です。全国812市区を対象とした全国編でも11位と高い評価を得ており、前回から7位順位を上げています。まさに西日本の主要な高評価都市と言えます。一方で、エリア内における「安心度」は、残念ながら前回同様の107位と低迷しています。
大阪市の安心度を深掘り
人口規模が大きい都市は「安心度」が低い傾向にあるとはいえ、他の大都市と比較分析が必要です。全国上位の横浜市、大阪市、名古屋市の『安心度』指標を見ると、人口当たり病院・一般診療所病床数や老年人口当たり老人福祉・保健施設定員数は大阪市が両市を上回ります。しかし、20〜39歳女性人口当たり0〜4歳児数と人口当たり刑法犯認知件数の2指標が700位後半と極めて低く、これが安心度全体の偏差値を大きく押し下げています。
住みよさランキング2025 近畿版トップ50、大阪市など上位都市を含む
大阪市のさらなる改善余地
東洋経済の試算によると、大阪市が「20〜39歳女性人口当たり0〜4歳児数」と「人口当たり刑法犯認知件数」の2指標をいずれも630位付近に改善できれば、平均偏差値の水準が全国トップの福井市と同等になるとのことです。この2指標の改善は、大阪市の総合的な評価をさらに高める鍵となります。
上位入賞都市
エリア別順位では、2位に滋賀県の草津市、3位に和歌山県の御坊市が続きました。前回2024年版と同様、上位3市の顔ぶれは変わっていません。
結論
「住みよさランキング2025」近畿版では、大阪市が不動の1位を維持しましたが、「安心度」における課題が浮き彫りになりました。草津市、御坊市が安定して上位を維持する中、今後の各市の取り組みが注目されます。
参考資料
- 出典:東洋経済『都市データパック』編集部