新潟県産米の価格高騰、JAと民間業者で農家争奪戦が激化

コメ価格の高騰が続き、日本の主要産地である新潟県では、農家からのコメ買い取りを巡ってJAと民間業者の間で激しい価格競争が繰り広げられている。政府による備蓄米の放出が行われているものの、これが市場価格を一時的に下げるに過ぎず、本格的な値下がりにはつながらないとの見方が市場で強いためだ。この状況を受け、2025年産の新潟県産米の買い取り価格は、すでに高値が提示される異例の事態となっている。

コメ高騰を示す、銘柄米とブレンド米の価格比較グラフ(5キロあたり)コメ高騰を示す、銘柄米とブレンド米の価格比較グラフ(5キロあたり)

JAによる異例の早期価格提示と引き上げ

JA全農にいがたは、県内の各JAに対し支払う2025年産米の仮渡し金(概算金)について、例年より早い2月末の段階で最低保証額として一般コシヒカリで60キロあたり2万3000円を示すという異例の対応をとった。さらに先月には、目標額を2万6000円以上へと引き上げた。昨年8月に示された2024年産の仮渡し金が1万7000円であったことを考えると、大幅な上昇であり、時期も大幅に前倒しされている。全農にいがたは今後、例年通り8月に改めて仮渡し金を示すが、さらに上積みする可能性も示唆されている。

この早期かつ高額な仮渡し金の提示の背景には、農家からコメを確保したいJAと民間の間で激しい競争が起きている現状がある。実際、2024年産米では、県内JAグループの集荷率が過去最低水準の45%まで落ち込んでいた。全農にいがたの方針を受け、新潟市や弥彦村などを管轄するJA新潟かがやきは、一般コシヒカリの仮渡し金を2万8000円以上とする方針を農家に対して明確に示した。

新潟県弥彦村の民間業者倉庫に高く積まれた米袋、高値競争の背景新潟県弥彦村の民間業者倉庫に高く積まれた米袋、高値競争の背景

民間業者の見方:相場は「JAの提示価格」次第

JAが示す買い取り額は、コメの市場価格全体に大きな影響を与える。政府による安価な備蓄米の放出による市場への影響について、県内のJA関係者は「相場が下がる懸念は可能性としてあるが、価格帯の異なる銘柄米と備蓄米は性質が違うため、銘柄米の価格には限定的な影響だろう」との見方を示している。

例年、JAよりも高い価格を農家に提示しているという弥彦村の民間業者は、今回のJAの早い仮渡し金提示を歓迎しており、「例年より早くJAさんが金額を示してくれたから、こちらも準備しやすい。大体、市場相場は3万円になるだろう」と予測している。別の新潟市内の民間業者も、政府備蓄米の放出による具体的な相場下落幅は不透明だとしながらも、コメ相場の全体的な水準は「JAがどれだけの価格を示すか」によって決まる、という見方で一致している。

コメ不足と価格高騰を背景に、県内の農家には県外の業者からも積極的に声がかかるようになっている。新発田市にある農業生産法人アシスト二十一には、これまで全く取引のなかった複数の県外業者から、コメの買い取りに関する打診が寄せられているという具体的な例も報告されている。

高値競争の今後の展望

新潟県産米を巡るJAと民間業者間の激しい買い取り競争は、2025年産の仮渡し金の大幅な引き上げという形で現れている。市場関係者の間では、政府の備蓄米放出による影響は一時的との見方が強く、今後の相場水準は依然としてJAの提示価格に大きく左右されると予測されている。この高値競争が、今後も続く可能性が高い状況だ。

Source link