今月5日に発売された任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」は、事前の強力な転売対策が話題となりましたが、発売当日からフリマサイトにはそれらをかいくぐった転売商品が乱立する状況が見られました。特にSNSで「悪質」と話題になったのが、「Nintendo Switch 2」を出品しているように見せかけながら、商品の説明欄に目立たない形で「ニンテンドースイッチ2 の写真のみお送りします」「素敵なお写真を発送いたします」「本商品は、Switch2の空き箱となっております。お気持ちだけでも、Switch2をお楽しみいただければと思います」などと記載している出品事例です。これは、購入者に本体が届くと誤認させることを意図した、いわゆる詐欺的な手法と言えます。
転売問題が話題となっている新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」
高額な「写真のみ」「空き箱」出品の現状
フリマサイトを確認すると、「写真のみ」「空き箱」といった実体のない商品が、Nintendo Switch 2の定価4万9980円（税込）に迫る、あるいはそれを超える4～6万円台で出品されているケースが見受けられます。商品の写真やタイトルだけを見ると、多くの消費者が本体が販売されていると錯覚してしまう可能性があります。商品説明を注意深く読まない限り、騙されて購入してしまうリスクが高いと言えます。このような高額かつ欺瞞的な出品は、消費者の混乱と被害を招いています。
詐欺被害？返金は可能か？（弁護士解説）
万が一、こうした悪質な商品を購入してしまった場合、購入者は法律上、出品者やフリマサイトに返金を求めることができるのでしょうか。消費者被害に詳しい齊田貴士弁護士は、民法上の「詐欺取消し」（96条）や「錯誤取消し」（95条）によって返金が認められる可能性が高いと指摘しています。
齊田弁護士によると、問題となった出品事例の中には、商品名、価格、商品画像だけでなく、以下のような記載がされているものがありました。
・プチプチに包み段ボールに入れて発送
・初期不良などあった場合でも…メーカーに直接お問い合わせください
・5つ当選しましたので1つ手放します
齊田弁護士は、「もし出品物が『写真』なのであれば、通常は段ボールに入れて発送しませんし、初期不良やメーカーの存在は考えづらく、『当選』という過程も経ないし、数え方の単位も『枚』になります」と述べ、こうした記載は出品物が本体であることを強く示唆しており、たとえ商品説明の隅に小さく「写真のみ」と明記されていたとしても、一般の消費者が本体と誤認するように意図されている可能性が高いと分析します。「たとえ『写真のみを送る』と明記されていたとしても、一般の消費者が読んだ際に、写真ではなく『Nintendo Switch 2』本体が販売されている、あるいは『Nintendo Switch 2』本体とともに写真が届くと読めるとすれば、それは消費者を錯誤に陥らせる表示となり得ます」と齊田弁護士は指摘します。さらに、「かつ、あえて錯誤を招くような表記をしていることからすると、出品者には欺罔（ぎもう）行為、欺罔意思（だまそうとする行為、意思）もあるといえ、詐欺取消し、または錯誤取消しが可能かと思います」と、詐欺や錯誤による契約の取り消しが法的に可能であるとの見解を示しました。
プラットフォーム側の対応は？（メルカリ）
こうした悪質な出品に対して、業界大手のフリマサイトであるメルカリも厳しい姿勢で臨んでいます。メルカリの広報担当者は弁護士JPニュース編集部の取材に対し、本体であると誤認し購入してしまった場合の対応について次のように回答しました。
「本体・中身が付属するように誤認させる出品は削除等の対応をしていますが、万が一お客さまが購入してしまった場合においては、取引状況を確認の上、全額補償を実施しております。被害にあわれた場合は、メルカリ事務局までご連絡ください。他方、悪質性が高い出品者に対してはアカウントの利用制限をかけ、排除していきます」
メルカリは、規約違反にあたる誤認を招く出品を削除するだけでなく、万が一購入者が被害に遭った場合には取引状況を調査した上で全額を補償する体制をとっており、悪質な出品者に対してはアカウント制限を含む厳しい措置でプラットフォームからの排除を進めているとしています。
