米、イラン核の「真の終結」要求:イスラエル衝突激化で緊張高まる

トランプ米大統領は6月17日、イランの核問題について「真の終結」を望んでおり、イランが「核兵器を完全に放棄」することを期待すると表明しました。また、イランの最高指導者ハメネイ師を直ちに殺害する意図は「今のところ」ないとしつつも、米国の忍耐は限界に近づいていると警告しました。

「イランは核兵器を保有してはならない。非常に単純なことだ。深く考える必要はない。ただ、それだけだ」とトランプ大統領は述べ、16日には記者団に対し、イランとの核問題に関し、「終結だ、停戦ではなく本当の終わりだ」と強調しました。トランプ氏は、イランに対し核開発計画を制限する新たな合意締結を強く求めています。

イスラエルとイラン間の武力衝突

一方、地域ではイスラエルとイランの間の武力衝突が激化しています。イスラエル軍は13日、イランに対する攻撃を開始したと発表。これに対し、イランは数百発の弾道ミサイルや無人機による大規模な報復攻撃を行いました。

被害状況と双方の主張

イスラエルによる空爆が始まって以降、イラン当局によれば民間人を中心に224人の死亡が報告されています。イラン赤新月社が16日に公開したとされる映像には、空爆を受けたテヘランのがれきの下から負傷者を救出する救助隊の様子が映し出されています(映像の場所や日付は未確認)。

テヘラン空爆後、がれきの中から負傷者を救出する救助隊テヘラン空爆後、がれきの中から負傷者を救出する救助隊

イスラエル軍は、イランが核兵器開発の最終段階に入ったとの認識から奇襲攻撃に踏み切ったと主張しており、イランの参謀総長や複数の上級核科学者が死亡したと発表しました。これに対し、イラン国防省の報道官は16日、イランが核兵器を建造しているとの主張は虚偽だとし、「イスラエルは最終的に敗北する」と強く反論しました。

イスラエル北部のアラブ系都市タムラでは、イランのミサイル直撃で死亡した一家4人の葬儀が行われるなど、民間人にも深刻な被害が出ています。イスラエル軍によれば、イランの攻撃により約24人が死亡、647人以上が負傷し、うち35発のミサイルが防衛網を突破して直接的な被害をもたらしたと報告されています。イスラエルは民間人への攻撃に対し報復する方針を示しています。

イスラエルからの脅威と米の姿勢

イスラエルのカッツ国防相は、イランの最高指導者ハメネイ師が処刑されたイラクのフセイン元大統領と同じ運命をたどる可能性があると威嚇しました。イスラエルはイラン領空の支配権を握っており、空爆拡大の障害は少ないと見られますが、地下深くにある核関連施設に決定的な打撃を与えるには、米国の支援なしには困難だとの専門家の指摘もあります。

トランプ大統領は自身のソーシャルメディアに「『最高指導者』がどこに隠れているか正確に把握している」と投稿し、「今のところ彼を排除するつもりはない」と述べました。しかし、「我々の忍耐も限界に近づいている」と付け加え、今後の展開に含みを持たせました。

現状は非常に緊迫しており、米国のイランへの要求と、イスラエルおよびイラン間の直接衝突が、地域情勢の不安定化をさらに招く懸念が高まっています。

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