近年、ナショナルスポンサーの出稿が滞るなど厳しい状況が続くフジテレビで、新たな波紋が広がっています。6月11日には人気アナウンサー山本賢太氏によるオンラインカジノ利用疑惑が浮上し、中居正広氏に関する問題の決着が見えない中で、SNS上では「またフジテレビか」「やっぱりフジアナだけ」といった批判が噴出。6月25日に控える株主総会への影響も懸念されています。
このような状況下、フジテレビにとって数少ない朗報と言えるのが、4月期の連続ドラマが高評価を得ていることです。『続・続・最後から二番目の恋』や『波うららかに、めおと日和』、さらにはカンテレ制作の『あなたを奪ったその日から』などが軒並み好調で、見逃し配信でも成果を上げています。動画配信サービスFODのオリジナルドラマ『HEART ATTACK』も評判が良く、ドラマ部門は活気を見せています。
好調なドラマ部門と伝説的ドラマ続編の報道
ドラマ分野の好調を受け、新たな動きとして報じられたのが、伝説的な名作『101回目のプロポーズ』(1991年放送)の続編企画です。5月22日付のニュースサイト『女性セブンプラス』によると、今秋にもFOD作品としてクランクイン予定で、仮タイトルは『102回目のプロポーズ』。オリジナル版主演の武田鉄矢氏もゲスト出演すると報じられています。
キャスト選考への議論と関係者の声
この続編で主役級にキャスティングされたと報じられたのは、『霜降り明星』のせいや氏(32)。武田鉄矢氏の強い推薦があったとされています。武田氏はフジテレビが3月で打ち切りにした『ワイドナショー』に準レギュラーとして出演しており、その後も『サン! シャイン』のスペシャルキャスターに起用されるなど優遇が続いていることから、社内の若い社員からは「問題発言の多い武田さんをなぜここまで優遇するのか理解できない」との疑問の声も上がっているといいます。
さらに、かつて浅野温子氏が演じたヒロイン役には唐田えりか氏(27)が起用されるとの報道もあり、これにも疑問の声が少なくありません。キャスティングプロデューサーは、Netflix『極悪女王』での演技は評価しつつも、過去の不倫騒動による世間のイメージを指摘。「“サレ妻”となった杏さんの好感度が高い分、いまだにSNSでは批判の声が多い」とし、「なぜ彼女なのか、『ただの話題作りとしか思えない』といった疑問の声も少なくない」と述べています。
『102回目のプロポーズ』続編でヒロイン役と報じられた唐田えりかの写真
フジテレビは2020年にも『東京ラブストーリー Tokyo Love Story』をFODで配信した例があります。この時は、オリジナル版で織田裕二氏が演じた役を伊藤健太郎氏が演じましたが、伊藤氏の過去の交通事故・ひき逃げ逮捕が大きく報じられた一方、ドラマ自体はそれほど大きな話題にはなりませんでした。民放ドラマ業界関係者からは、これらの名作が大多亮氏によって生み出されたことに触れ、大多氏が中居氏の問題で引責辞任し、フジテレビが提訴を発表したばかりのタイミングで続編制作を報じることについて、「また何を言われるかわからない」「一体、フジテレビは何を考えているのか」との声が上がっています。
当事者とフジテレビの反応
主演と報じられたせいや氏本人は、6月6日放送の『霜降り明星のオールナイトニッポン』で、「まったくそんな事実はございません。ないないない」と報道を否定しています。制作発表前のため、公式には認められないという事情もあるかもしれません。
念のため、フジテレビ広報部に制作の事実について問い合わせたところ、「制作の詳細についてはお答えしておりません」との回答でした。
専門家の分析
コラムニストの山田美保子氏は、この状況について見解を示しています。『東京ラブストーリー』や『101回目のプロポーズ』は『すてきな片想い』を含め「純愛三部作」と呼ばれ、主題歌のミリオンヒットやロケ地、衣装などがトレンドとなるなど、トレンディドラマの先駆けであり、一大恋愛ブームを巻き起こした作品だと解説。しかし、当時はケータイ電話もない時代であり、すれ違いや待ちぼうけなどがドラマチックな展開を生んでいたことに触れ、「当時の恋愛ドラマに、マッチングアプリで交際や結婚をする現代の若者が共感してくれるのかは未知数」とし、そもそも若い世代のドラマ視聴者が少ないことを指摘しています。
今期高評価を得ている『続・続・最後から二番目の恋』は、オリジナルキャストで続編を制作した成功例であり、これによりオリジナルのファンに加え新しいファン層を獲得している点を評価。山田氏は『102回目のプロポーズ』についても、「武田さんが出演するのなら、オリジナルキャストでその後を描いたほうがいいのでは」との見方を示しました。
多くのファンを持つ名作ドラマの続編だけに、成功が期待される一方で、様々な議論と課題が浮上している状況です。