厚生労働省が2025年6月4日に発表した生活保護の被保護者調査結果によると、保護の申請件数は2万2484件となり、前年同月比で867件(4.0%)増加しました。
生活に困窮する高齢者のイメージ
被保護者世帯の内訳と顕著な高齢化
被保護者世帯の内訳を詳細に見ると、高齢者世帯が全体の55.4%を占めており、そのうち51.6%が単身の高齢者世帯です。これは、高齢化が生活保護受給世帯において最も主要な課題であることを示しています。次に多いのは障害者・傷病者世帯で合計25.1%を占めています。母子世帯は3.6%と比較的少なく、これらのいずれにも該当しないその他の世帯が15.9%となっています。これらの統計は、生活に困窮している世帯の構成が、特に高齢者において偏っている現状を浮き彫りにしています。
生活保護制度:最後のセーフティネットの仕組み
生活保護制度は、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を困窮したすべての国民が営めるようサポートする、日本における最後のセーフティネットです。ただし、制度の適用にはいくつかの要件があります。まず、預貯金や利用されていない土地・家屋などの資産を活用することが求められます。次に、働く能力がある場合は、その能力を最大限に活用し就労に努める必要があります。さらに、年金や手当などの他の社会保障制度から給付が得られる場合は、それらを優先して活用します。最後に、親や子などの扶養義務者からの援助が可能かどうかも検討されます。これらのあらゆる手段を講じてもなお生活の維持が困難である場合にのみ、生活費の不足分に対して公的な支援として生活保護が適用されます。
生活保護を構成する8種類の扶助
生活保護による支援は、対象となる生活上のニーズに応じて以下の8種類の扶助に分類されています。
- 生活扶助: 日常生活を送る上で最低限必要な費用(食費、被服費、光熱費など)
- 住宅扶助: 賃貸住宅の家賃や地代など
- 教育扶助: 義務教育を受けるために必要な学用品費や給食費など
- 医療扶助: 医療サービスの自己負担額など
- 介護扶助: 介護サービスの自己負担額など
- 出産扶助: 出産にかかる費用
- 生業扶助: 就労に必要な技能習得費用や高等学校等への就学費用など
- 葬祭扶助: 葬儀や埋葬にかかる費用
これらの扶助の中で、日常生活の根幹を支えるのが生活扶助です。支給額は世帯の人数や年齢、所在地域など、様々な状況に応じて決定されます。
物価上昇への対応:生活扶助への特例加算
近年続く物価上昇は、生活保護世帯の家計にも大きな影響を与えています。これに対応するため、政府は生活扶助の基準額に月額500円を上乗せする特例加算の実施を決定しました。この特例加算は、2025年10月から2年間の期間限定で実施される予定です。この措置は、特に食料品などの生活必需品価格の上昇によって圧迫されている生活保護世帯の生活を一時的にでも緩和することを目的としています。
まとめ
最新の調査では、生活保護の申請件数が増加傾向にあり、特に高齢者世帯が被保護者の半数以上を占めている現状が明らかになりました。生活保護制度は、資産や能力、他の制度や扶養をすべて活用してもなお生活に困窮する人々を支える最後の砦です。日常生活費を賄う生活扶助を含む8種類の扶助があり、世帯の状況に応じて必要な支援が行われます。物価高騰の影響を受ける生活保護世帯に対し、2025年10月からは生活扶助に月額500円の特例加算が2年間実施されることが決まりました。これは、困窮世帯の生活を一時的にでも支えるための重要な措置です。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/ff02bc2d6a6b2c9ef30a2c47922ef73e423e271e