平成以降で最多となる295人が立候補した東京都議選（6月22日投開票）も終盤に入り、選挙戦は熱を帯びている。特にメディアの注目を集めているのが、玉木雄一郎代表率いる国民民主党の動向だ。都議会に議席を持たない同党は今回、11議席獲得を目標に掲げている。7月の参院選の前哨戦と位置付けられ、玉木氏ら幹部も積極的に各候補の応援に駆けつけているが、2カ月前の熱気や勢いは感じられない。「山尾ショック」の傷の深さを見せつけられる思いだ。
国民民主党、参院選比例候補「山尾志桜里氏」公認取り消しの経緯
国民民主党が5月に参院選比例代表での擁立を発表した山尾志桜里氏（50）の公認取り消しを決定したのは6月11日だった。その前日、彼女が開いた出馬会見では、過去の不倫疑惑に質問が集中した。この不倫問題は2017年に公になり、当時、彼女は男女関係を否定していた。不倫相手の元妻が2020年に自死したことは報じられていたが、最近になってその死装束がウェディングドレスだったと明かされ、再び問題視されることになったのだ。
国民民主党代表 玉木雄一郎氏
10日の会見に出席したベテランカメラマンの堀田喬氏（79）は、山尾氏の会見について「“8年前に言ったことは事実”と不倫を否定し、出来としては20点や30点の会見だった」と話す。それでも山尾氏は「公認が白紙になるなんて全く思っていなかった」という。
ベテランカメラマンが語る山尾氏と国民民主党候補者たち
堀田氏は、山尾氏や須藤元気氏（47）、足立康史氏（59）、薬師寺道代氏（61）ら国民民主党の比例候補を指して「汚物まみれの4人衆」と命名した人物だ。彼は山尾氏と会見後も会話したという。5月に須藤氏が街頭演説を行った際、記者から囲み取材を受け、過去の反ワクチン発言を追及されたが、次の演説先へ向かう時間が迫り、途中で打ち切ったため批判を浴びた一件を踏まえ、山尾氏に「今後、街頭演説をする時には移動時間を長めに見積もっておかないとダメだぞ」と忠告したところ、山尾氏は「分かりました」と力強く答えていたそうだ。
かつて「美魔女」と呼ばれた頃の山尾志桜里氏
山尾氏X投稿と国民民主党関係者の証言に見る食い違い
当の山尾氏は翌12日、自身のXに以下のように投稿した。
〈早期の（会見）開催の意思を党にお伝えしつつ、党からの判断を待った結果、6月10日開催の運びとなりました。代表・幹事長の同席を希望しましたが、辞退会見であれば同席するとのお答えは大変残念でした。（中略）国民民主党には離党届を提出いたしました〉
これは、これまで玉木代表が説明してきた「（彼女には）会見すべきであると伝えている」との話と矛盾する内容だ。この食い違いの真相について、山尾氏をよく知る国民民主党関係者が衝撃的な証言をした。
関係者によると、「玉木氏の話は全部、大ウソです。山尾さんはこの間、何度も党に“会見をやりたい”と申し出ましたが、そのたびに玉木氏ら執行部が“待ってくれ”と言って止めてきたのです」。
まとめ
国民民主党が東京都議選終盤を迎える中、かつての勢いは失われ、「山尾ショック」の影響が色濃く出ている。参院選比例候補として擁立された山尾志桜里氏の公認取り消しは、過去の不倫疑惑再燃が原因だった。会見での山尾氏の対応には批判的な声もあったが、彼女自身は公認取り消しを想定していなかったという。一方で、山尾氏のX投稿と党関係者の証言からは、玉木代表の公言とは異なり、党執行部が山尾氏の早期会見を妨げていたという疑惑が浮上している。この混乱は、党の信頼性にも影響を与えかねない状況となっている。
